外国人雇用とマネジメント企業へのインタビュー ~株式会社ビィ・フォアード~

グローバルパワーユニバーシティ 外国人雇用とマネジメントの先人に学ぶコーナー第9弾は、アフリカをはじめ世界各国に中古車販売・輸出を行う 株式会社ビィ・フォアード(BE FORWARD CO.,LTD.) 末盛 貴弘氏、大島 亜也奈氏です。世界中に広がる中古車販売ビジネスを支える多国籍社員が働く環境について、編集部の神(じん)がお話を伺いました。

株式会社ビィ・フォアード

末盛 貴弘
取締役
ゼネラルマネージャー

大島 亜也奈
社長室
秘書 兼 広報

会社プロフィール
設立:2004年3月
従業員数:約210名
外国人社員数:約60名

モンゴル・韓国・アフリカ大陸諸国など30か国の多国籍な社員が在籍

 はじめに、御社がどのような事業をされているのか教えて頂けますか。

末盛氏 当社ビィ・フォアードは、主に日本の中古自動車・部品を世界200の国や地域に販売・輸出をする越境ECサイトを運営しています。

当社の特色は、Eコマースによる販売窓口を、新興国を中心に広く世界に展開していることです。また、サイト運営のみならず、送金手続き、現地へのデリバリーなど、販売から輸送まで一気通貫でビジネス展開しています。世界的に見て、日本の中古自動車はトップレベルの品質を誇っています。

確かに生産数や価格でいうと中国産には敵いませんが、日本産・日本式サービスへの信頼においては優位性があります。特に、当社が運営するWEBサイト「beforward.jp」は、月間6000万PV、掲載商品のクオリティや更新性の高さから、新興国を中心とした世界各地で多くのユーザーの支持を得ており、月間15000台もの中古自動車を輸出しています。

 世界各国とビジネスをするにあたり、どのような国籍の方を採用していますか?

末盛氏 いま一番多いのはモンゴルの方、他にも韓国の方も多いですが、アフリカ大陸諸国や欧米など様々な国の社員が在籍しています。当社はアフリカ大陸でのビジネスのイメージが強いかもしれませんが、現地化やパートナー企業を増やしており、社内の人数を減らしても事業として大きくできるステージになってきました。採用活動は、求人媒体の使用はもちろん、友人の紹介で採用に至ることも多いです。

外国人材の価値は現地の言葉と商習慣がわかること

 外国語のできる日本人ではなく、外国人を採用する理由はありますか?

末盛氏 一番の理由は「言語力」と「現地の商習慣」の理解が高いからです。英語やフランス語であれば日本人でもできる人は沢山居ますが、現地の言葉、特に民族語は日本人に出来る人がいません。現地語でやりとりできる人材というのは、新興国の販路を拡げるために欠かせないのです。

「車好き」よりも「商売」がやりたいかどうかが重要

 採用の際、言語力以外に確認している点はありますか?

末盛氏 「ビジネス」つまり「トレード」をやりたいか、という点です。車を扱っている会社ということで「車が好き」「メカニックが好き」という人材が応募してきます。しかし実際にやってもらうことは「商売」ですから、それをやりたいかどうかが重要です。

 日本に居る外国人を採用する際、働く意欲はあるものの、日本でのビジネス経験が無いなど、採用の合否が難しいところもあると思います。どのように判断されていますか?

末盛氏 まず特定の言語ができるだけで貴重な人材です。それに加えて、母国でどんな事をしてきたか、なぜ日本に来たか、というような話をして、人物像を確認するようにしています。

日本ではアフリカ系の方が少なく、外見が理由で「表に出る仕事」に就きづらい現実があるようです。なので、日本でしていた仕事がたとえ裏方や単純労働の仕事であっても、その経歴で判断せずに、対面で話してみて「できそう、やってくれそう」という感覚を大切にしています。

このような背景から、日本において、自分のデスク・自分のPC・自分の電話を所有してオフィスの仕事ができることに喜んでくれた社員も多いですね。

 

人材を長く留まらせるよりも現地化を目指しています

 外国人の方を多く採用していて、日本人に比べて離職率が高いといったことはありますか?

末盛氏 正確な数字は出していませんが、日本人に比べて勤続年数は短いように思います。次の良い仕事が見つかったら転職する人が多い印象です。

 それに対して何か特別な施策はしていますか?

末盛氏 していません。我々は「THE ジャパニーズカンパニー」だと自負しており、「ここは日本だからそれに合わせてください。」というスタンスです。また、人材を長く留まらせることよりも、現地化を目指しています。現地法人・現地パートナーに任せる仕事を増やすということです。例えばアフリカの国々の都市部は大抵、英語またはフランス語が通じるので、開拓して運営できるようになってきたところで、現地のウェイトを増やし、日本から管理していく方針です。

 休暇制度なども一般的な会社と同じですか?

末盛氏 同じだと思います。以前は、外国人社員が長く国に帰れるようにと有給休暇を増やすなど、色々なことをしました。しかしある時、事業継続やインセンティブ効果に疑問があったのでその施策を辞めました。これがきっかけで離れていった外国人社員が多くいたのは確かです。当時は「そういった制度があるのが当たり前」になっていたからですね。しかしその制度がないからと言って現状、新しい社員が集まらないということはありません。

「ちょっと聞いて助け合う」お互いに頼り合う組織文化

 これだけ色々な国の方が在籍されていますが、何語でコミュニケーションしていますか?

末盛氏 社内通達は日本語と英語です。各チームでは、各々コミュニケーションの取りやすい言語を使ってもらっています。マネージャーは英語と日本語ができる人が殆どなので、評価面談などは各言語で話してもらい、実施結果などは日本語で提出してもらっています。

 複数言語が話せる社員が殆どとはいえ、意思疎通に困ることはありませんか?

大島氏 日本語で書かなければいけない書類があれば、周りのわかる人間に聞いて書いたり、逆に英語がわからない人は誰かに読んでもらったり。当たり前のように「ちょっと聞いて助け合う、頼り合う。」という文化が出来ているかもしれません。社員同士の心理的な距離が近いので、仲が良すぎてもう少し姿勢を正してほしいと思う時もあるくらいです(笑)

 「THE ジャパニーズカンパニー」という姿勢なのに社員同士の仲が良いというのは、国籍による垣根も低い印象を受けます。自然にそのような関係性ができているのでしょうか?

大島氏 確かに、日本人も「バックパッカーをしていました」とか「海外旅行が好きです」という社員が殆どです。そのせいか、入社して「え、外国人がいっぱいいる…。」と戸惑うような方は居ないように思います。

末盛氏 以前よりも世界全体の距離が近くなって、「青年海外協力隊でアフリカに行っていました」「留学していました」というような人が入社してくれることも増えました。ビジネスも採用活動も、社会背景と共に変わってきたように思いますね。

海外現地パートナーとの関係強化によるリスクマネジメント

 外国人社員ならではの課題はありますか?

末盛氏 お互いにしかわからない外国語で話していると「何を話しているのかな?」と疑問を持つことはあります。万が一、社内の人間が海外現地の人と癒着し、悪事を働いたとしても、民族語で話されるとその会話からは気付くことができません。

一方で、「何かおかしいな」と感じることは、現地のパートナーから報告があって発覚することもありますから、日頃から海外のパートナーとも信頼関係を築いておくことが大切です。

関係づくりについては、社内の人間が2名ほど、常に海外に入れ代わり立ち代わりで行っているような状況です。国や地域が多いので常駐できるわけではありませんが、実際に出向いて現地の指導や開拓をすることで関係性を築いています。

 「外国人を採用するってどうなんだろう」という不安から「楽しい」と元気をもらう存在に

 これから外国人を採用したい企業へアドバイスをお願いします。

末盛氏 あまり外国人ということを意識しなくてよいと思います。仕事をする上で「外国人だから」という扱いを受けて嬉しい人はいないと思います。ビザ(在留資格)など、少し事務面でやるべきことはあるかもしれませんが、難しいことではありません。

私自身も昔、「外国人を採用するってどうなんだろう」と思っていました。最初に採用したのは、ウズベキスタン人だったと思います。正直、はじめは接し方がわかりませんでしたが、本人が気さくだったこともあり自然と馴染んでいきました。そして今ではこんなにも沢山の外国人が当社で働いています。一緒に働いてみて楽しいことが多いです。お酒を飲めば陽気だし、元気をもらうことが多いですね。

 

多国籍での社員旅行はビザ手続きが大変、入国できず1人だけ留守番になったことも

 実務以外で、多国籍に配慮をしていることはありますか?

大島氏 業務外で言うと、飲み会やカラオケなんかも好きな人は多いですが、お酒を飲まない人は飲まない、というだけですね。弊社は年に一回社員旅行があるのですが、この場合は個人でお店や食事が選べないので、ハラル席を設けて配慮しています。

末盛氏 社員旅行については、以前はアメリカ圏なども行きましたが、観光ビザ発給が難しい国籍の人もいて手続きが大変なので、最近は東南アジアや日本国内への社員旅行にしています。100名単位での海外社員旅行ですと、以前1人だけ、ビザの手続き上入国できなかった方がいました。残念ですがその場で「ばいばーい」と別れて、お土産を持って帰りましたよ(笑) こんなことも、多国籍、大人数で働かなければ経験できないエピソードです。

大島氏 その他でいうと、業務とは別に英語のレッスンを提供しています。始業前に1時間、社外講師に来てもらっています。レベル別で4クラスあり、日本人と外国人合わせて20名ほどが参加しています。社員全体のスキルアップになればと考えています。

会社が必要とする人材であっても、条件により在留資格取得できないことが課題

 日本社会における外国人雇用課題は何か感じていますか?

末盛氏 ビザ(在留資格)の承認が厳しいと思います。これから人口が減り、海外ビジネスが加速する日本社会にも拘わらず、会社にとって必要な人材を海外から呼び寄せることが難しいです。

特に、スキルがあっても高等教育修了を求められたり、先進国に比べて新興国はより厳しく審査されたりする傾向があると感じているので、その点は残念です。特に我々の場合は「開拓したい地域の人材」が必要なので、余計にそう感じます。

また、厚生年金などの制度も、いずれ母国に帰る人、国に年金を持って帰れない人からすると、払い損になります。「返ってこないのに払わなくてはいけない。」というのは疑問があって当然ですから、改善してほしいですね。

このように課題はありますが、外国人雇用自体は難しいことではありません。ぜひ多くの企業に取り組んでみてほしいです。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

神英美子

株式会社グローバルパワー GHR事業本部所属 東京都生まれ。日本女子大学を卒業後、大手ゼネコンを経て、2016年グローバルパワーに入社。趣味はGoogle Mapsを辿ること。ペーパー1級建築士。