外国人雇用企業へのインタビュー (株)ジャパン インバウンド ソリューションズ 代表取締役社長 中村好明氏

グローバルパワーユニバーシティ 外国人雇用の先人に学ぶコーナー第一弾は、 株式会社ジャパンインバウンドソリューションズ 代表取締役社長 中村好明氏にご登場頂きます。外国人雇用についての先進的な取り組みと、事業を成長に導いていらっしゃる秘訣、外国人雇用を通じて見える日本の未来などをお聞きしました。

中村好明(なかむら・よしあき) 1963年佐賀県生まれ。ドン・キホーテ入社後、分社独立し現職就任。自社グループの他、公共・民間のインバウンド振興支援事業に従事。2017年4月、一般社団法人日本インバウンド連合会理事長に就任。日本インバウンド教育協会理事。ハリウッド大学院大学および神戸山手大学客員教授。日本ホスピタリティ推進協会理事・グローバル戦略委員長。全国免税店協会副会長。みんなの外国語検定協会理事。観光政策研究会会長。著書に『ドン・キホーテ流 観光立国への挑戦』(メディア総合研究所、2013 年)、『インバウンド戦略』(時事通信社、2014年)、『接客現場の英会話 もうかるイングリッシュ』(朝日出版社、2015年)、『観光立国革命』(カナリアコミュニケーション、2015年)、『地方創生を可能にする まちづくり×インバウンド 「成功する7つの力」』(朝日出版社、2016年)、『儲かるインバウンドビジネス10の鉄則』(日経BP社、2017年)がある。

国籍・学歴・性別・年齢で前提を設ける採用というのは経済合理性からはずれている

竹内 当社は、日本在住の外国人材の派遣や紹介事業をはじめて今年で14年目になります。中村さんとの交流は今年ですでに7年目になります。読者の方々の為に、現在どのような事業をされているのか教えて頂けますか。

中村社長 ジャパンインバウンドソリューションズ(以下JIS)は、2013年7月1日にインバウンド戦略推進の専門会社として設立されました。まさに社名の通り、インバウンド事業、すなわち日本に海外から訪日旅行客を呼び込むための各種マーケティングソリューションを提供しています。

竹内 JISの代表取締役としての仕事に加え、さまざまなソーシャルな活動もされていますが、それらの活動についても教えていただけますか。

中村社長 日本の人口は、この5年間で100万人ぐらいの人口が減っています。簡単に言いますが、100万人いうと日本の小さな県が1つ2つ減っているようなものです。それが、これから加速していき、2020年を超えると毎年70万人以上の人口が減っていく、むこう10年間で700万人の人口が減っていくわけです。

いま、四国地方の人口が400万人をきっているぐらいですから、700万人というと四国地方が2つぐらい、中国地方の岡山県、広島県、山口県、鳥取県、島根県、この5県が消失する計算になるのです。このように、“ いつかくる人口減少社会 ” ではなく、“ もうはじまっている人口減少社会 ” では、特に地方から人口が消失し、活力が失われ地場の需要が減っていきます。そういう時代に向けて、個々の事業会社が自社だけを繁栄させようというのはそろそろ限界を迎えつつあります。地方をまるごと元気にしていく上で、一番の近道がインバウンドだと思い、同志の皆さんと共にそのための社団法人を設立しました。

日本インバウンド連合会(JIF)は、官と民の垣根、市町村ごとの行政区域の垣根をはずし、様々な業種、業界の垣根をはずし、日本の観光立国の実現に最大限の寄与をするために創られました。また、日本インバウンド連合会(JIF)に加え、さらに国際22世紀みらい会議という別のプラットフォームも作り、観光立国に加えて、持続可能な社会をつくっていくための議論する場の創設にも加わりました。

そのほかには、観光政策研究会会長や熊本市MICEアンバサダー、ハリウッド大学院大学、神戸山手大学の客員教授、全国免税店協会 副会長などパブリックな活動もしています。

竹内 最近は、WEBサイトやSNSなどで中村さんのインタビューや講演の記事を見ない日はないというぐらい、全国で、世界でご活躍されていますね。

中村社長 年間の講演は国内外で約200回ぐらいです。講演に加えて、講義やワークショップのトレーナーやパネルディスカッションなどでの登壇も行っています。

竹内 現在、JISでの外国人雇用状況を教えてください。

中村社長 全社員の約半分が外国人社員になります。

竹内 外国人社員と日本人社員の仕事の内容は違いますか。

中村社長 外国人も日本人も仕事の内容は同じです。いま、在籍している外国籍社員の仕事内容は、スーパーバイザーやアートディレクターなどで、職種によって違いますが、国籍によって配属を分けたものではありません。

竹内 外国人の採用をはじめたのは、いつ頃からですか。

中村社長 そもそも外国籍の採用は「外国籍という採用枠」ではじめたわけではありません。2008年から、ドン・キホーテグループのインバウンドプロジェクトがスタートしましたので、その時から、” 今後は国際的な仕事をするにあたり、あらゆる国籍の人々と一緒の仕事をしよう ” と決めて実行していきました。国籍の境目というのはたいして重要ではありません。一緒に仕事をする人の選択は、国籍でもないし、学歴でもないし、性別でもないし、年齢でもない。要するに、事業をすすめるにあたり最適であるかどうか、利益を最大化し持続可能な経営をしていく上で必要なヒューマンリソースであるかどうかです。

国籍や学歴、性別や年齢など、最初から前提を設けるというのは経済合理性からはずれると思います。自分たちが手に入れたい企業目的、経営目的に資する人、もっとも最適な人を選択して採用していくというのはあたりまえのことだと思っています。

竹内 事業の目的を達成するための最適な採用を考えた時に、たまたまそれが外国籍だったということですね。日本人だけでやろうという考えは全くなかったのですか?

中村社長 「世界の人を日本に呼ぶ」というインバウンドビジネスをするうえで、まずは自分たちの組織が世界にひらかれた組織ではない限り成功することは不可能だろう、という前提でした。事業において最適な人材を世界から採用するという考えで、日本人は選択肢の1つにすぎません。

竹内 中村さんの著書、『地方創生を可能にする まちづくり×インバウンド 「成功する7つの力」』(朝日出版社、2016年)の中で、インバウンドの進化・発展における時代区分を提唱されていますね。インバウンド1.0時代(2003年4月~2014年9月)は観光立国がスタートしたばかりで、インバウンドは空港や鉄道、宿泊施設などの特定領域の事業者と行政のものだった時代、インバウンド2.0時代(2014年10月1日~2020年7月21日)は、わが国の免税制度の大幅な改革をきっかけとして、狭義の観光事業に加え、小売業や各種サービス業など、より幅広い業界がインバウンドビジネスに関わるような時代、インバウンド3.0時代(2020年7月22日~)は日本の全産業・全企業、そして行政機関すべてがインバウンドに関わる時代、全国民が「これからはインバウンドの時代」だと強く自覚し主体的にかかわっていくという時代です。それを外国人雇用にあてはめると、一般的な日本企業は、インバウンド1.0にもみたない企業がまだまだ多い状況です。

中村社長 いまは世界競争の時代です。グローバルな競争社会の中で、日本企業は世界の企業と競っていかなければなりません。これまでは国内の競争でしたが、今は世界との競争です。世界でビジネスに勝っていく、生き残っていくということは、日本の国益に資する企業活動だと思います。そういう意味において、もはや「日本人だけで」という時代ではありません。日本の中だけで商売ができていた時代はそれで良かったのかもしれませんが、いまは世界の人に来てもらって、また世界の人と仕事をして世界の企業と競っていくのです。当社でいうと、観光立国競争というのは、それぞれの国がしのぎをけずっているので、世界の優秀な人たちと働くという選択は当然のことなのです。

(株)ジャパン インバウンド ソリューションズ 代表取締役社長 中村好明

竹内 日本はいまだかつてない人口減をしていますが、その観点から外国人雇用をするという事についてはどうお考えですか?

中村社長 人口減をするから外国人雇用をするという考えはありません。「コップの水がたりないからよそからもってこよう」というのは自国中心主義だと思います。日本以外の国は、人口が増えていますので、世界のドアを開けて自由に行き来していく、すなわち世界と直結する日本にしていくというのが大前提だと思います。

竹内 日本にいる留学生の就職率は約3割でまだまだ就職できていません。日本での就職を希望する人は6割強です。2018年の新卒日本人の内定取得率は9割にも拘らず、留学生は就職希望者の半分も内定がとれていない状況です。留学生・外国人雇用の数はこれからも増えていくと思いますか?

中村社長 外国人雇用は増やしていくべきだとは思いますが、日本の国内経済規模そのものが拡大しないと、国内労働市場も増えません。日本経済が成長していかないと、優秀で質の高い留学生が獲得できなくなります。その一方で企業にとって採用したいと思える程の、戦力になれる高度な外国人人材がいまは足りてないという現実もあります。そこはお互い様なので、日本企業はもちろん、留学生諸君も努力しないといけないと思います。

竹内 外国人材の採用は、どのような手法で採用されてきましたか?

中村社長 人材紹介、求人メディア広告、当社のホームページ、リファーラル(従業員からの直接紹介)です。最近増えているのが社員の紹介によるリファーラル採用です。日本人よりも外国籍スタッフの方の方がネットワークをもっていて強いと思います。また、社員によるリファーラルはES、すなわち従業員満足が呼び寄せているものだと思います。これは、特に社員にお願いしているわけではなかったのですが、自然発生的にリファーラルによる採用が実現しています。

熱意があれば語学は向上。その人がいまどれだけの“未来価値”を持っているかに注目

竹内 採用にともなう、書類選考や面接で重要視している事やポイントなどありますか?

中村社長 応募書類では、日本語能力とクオリティ、記載内容に誠実さや緻密さがあるかどうかを確認します。面接では、実際に目の前で会った時の印象と、応募書類を読んだ時の印象との間に差異がないかどうかを見ています。人間として誠実かどうかは特に注視しています。「誠実さ」と「当社の理念に共感しているかどうか」が大事なポイントだと思います。あまりにも日本語能力が低すぎるというのは論外ですが、語学はある程度ベースがあれば良く、熱意があれば語学は向上できます。実際に入社するとみんな驚くほど日本語はうまくなります。

入社時に、各人の過去の経歴についても勘案はしますが、それ以上に、これまでの属性ではなく、その人がいまどれだけの “ 未来価値 ” を持っているかに注目します。その人はこれから成長し未来があるわけですから、常に未来志向であるということが大事なところだと思います。

竹内 会社で日本語のトレーニングなどはされていますか?

中村社長 特にしていません。日本語がうまくなるのは、日々日本語での濃密なやりとりや翻訳業務を行っているので、日本語に向き合う量が多いのだと思います。当社は、様々な国籍の人が日本語を共通語として格闘している状況ですので、日本語能力の不足を言い訳にはできません。マジョリティが日本人で外国人がポツリという状況であれば「私は外国人だし、日本語は難しいのですぐに身につくわけない」という言い訳ができるので、甘えがでてくるかもしれませんが、当社の場合は、半分が外国人なので、お互いに言い訳ができにくいのです。また、当社のスタンスとしては、外国人だからといって手加減(すなわち特別扱い)はせず、平等なのです。

竹内 インバウンドプロジェクトをスタートされ、世界の人たちと働く組織になって、良い変化などはありましたか?日本人だけの組織文化では成しえなかった事などありますか?

中村社長 どうしてもホスト側としての、日本のドメスティックな視点になりがちだったのが、外国籍の人と仕事をすることによって、“タビビト視点”が社内に広がるようになりました。当社は、インバウンドソリューション事業ですので、常にタビビト目線に立った事業戦略が必要で、そうした視点を持った人々が増えたのはとてもいいことです。

竹内 外国籍の方を採用して、逆にネガティブな点はありましたか?

中村社長 外国籍の方のほうが、ややエクスキューズ(言い訳)が多い気がします。「私は外国人だから、手加減してもらっても良いのではないか。」「私は外国人だし、日本語はネイティブではない。」という考え方がベースにあるのでしょう。実は、ほとんどの問題は言語の問題ではありません。国籍や言語、民族の問題ではなく、一人一人の人間力の問題なのです。エクスキューズは、国籍や言語、文化の差異を超えた人間としての誠実さや論理性、合理性から逃げている場合が多いのです。

私の友人は、北京にある中国企業に就職していますが、日本人は彼1人です。しかも幹部社員です。心細い状況ですが、「日本人ってこんなものか。」と言われたくない一心で頑張っているそうです。彼以外は中国人、完全アウェイの中で頑張って、今なお活躍しつづけているのです。

竹内 外国人と一緒に働いて、予想外だった事や新たな気づきはありますか?

中村社長 日本人社員と違ったのは、「両親や妹のために働いて仕送りをしたい」というように、自分のためだけに働いていないという社員が少なくないことでした。昔はともかく今の日本人の多くは「自分のため」が当然の時代に、そうやって生活を切り詰めて、妹のため、母親のため、という話をきいたときはびっくりしました。日本人だけを採用している時にはなかなか聞かない話だっただけに、予想外でした。

竹内 外国人社員の定着率についてはいかがですか?

中村社長 外国籍の方たちは流動性がどうしても高く定着率は日本人よりも相対的にやや低めではありますが、その一方、当社でもっとも社歴の長いスタッフは外国人社員です。そして、当社の中核的な仕事を担っているのも外国人社員。そう考えるとやはり国籍は関係なくて、定着率は、その人の能力や、仕事に対するロイヤリティ(忠誠心)が大きく影響するものなのだと思います。

会議の様子

竹内 多様性ある組織をマネジメントする上で、評価制度やマネジメント手法など何か工夫をされている事はありますか?

中村社長 基本的に外国人社員は、在留資格の更新や言葉の違いなど様々なハンディキャップがあると思います。しかし、「国籍によって区別や差別をしない」というのが一番重要な原則だと思います。そこがぶれなければ労務管理上の大きな問題トラブルはありません。壁をつくって区別をされれば外国人社員の不満になることでしょう。昇進とか昇給が日本人とルートが違うとなると、それは不満足になって当然です。当社グループは、最初からそのような枠も壁もありません。外国人だから、日本人だからといって昇給昇格スピードが変わる事もありません。もちろん国籍によって選別されるということも一切ありません。

韓国、中国、台湾などアジア諸国の企業は、すでにマーケティングディレクターなどの高いポジションに外国籍の人材を積極的に採用しています。要は、世界レベルの最優秀な人を集めているのです。外国籍というだけでエグゼクティブやディレクターにしないという企業があるとすれば、そういう考え方をしている限り世界の優秀な人は来てくれません。まさに、日本語能力や外国籍であるかどうかというところ、中核的な能力とは全く関係ないところでハンディキャップを与えているとすれば、それは総合的な企業力を下げることになります。

竹内 これから、もっと外国人が日本の社会で活躍してもらうためには、日本企業や日本社会というのはどうあるべきだと思いますか?

中村社長 日本が生き残っていくための最低条件は「英語の第二公用語化(注意:公用語化であって常用語化ではない!)」だと思っています。企業の入社手続きや就労規則、労働契約など、労働という視点からすると様々な申請書等があると思いますが、それらのインフラを日本語と英語で選択できるようにするのです。使う場所があると必然的に英語力があがっていくと思います。

竹内 楽天さんが2010年に社内公用語を英語にしました。公用語化した2010年は、社員のTOEIC平均点数526点だったものが、2014年にはTOEICの平均点数が794点になったそうです。使う頻度が高くなると必然的に英語力が上がるという考え方ですか。

中村社長 英語力だけが重要なのではなくて、考え方の変化の方がもっと重要だと思うのです。例えば、日本人だと上司に対して「すみません、メモパッドをとって頂けませんか?」と敬語を使いますが、アメリカですと上司であっても「Can you~?」となります。「Could you ~?」とか「Would you ~?」という表現を使う必要はないのです。英語は、こういうフラットな人間関係みたいなものを生み出していくのではないかと思います。

竹内 英語を通じて凝り固まった日本人の感覚が徐々にグローバル化されていくのではないかという事ですね。

中村社長 日本という社会は、タコツボ型の特殊な社会になっているので、風穴をあけていくのです。日本のガラバゴス化したこの国の文化を世界標準へとバージョンアップしていく、結果として世界の労働市場が日本に参入し流入して来ます。これによって日本が活性化されていき、各企業が活性化することにつながるのではないかと思っています。私は、これを本気でやろうと思っています。

外国人雇用は企業にとって「信用」になる。ダイバーシティを体現した職場が社員と企業の可能性をひろげる。

竹内 これから外国人雇用をされる経営者や人事の方へアドバイスをお願いします。

中村社長 戦術的な言い方になるかもしれませんが、外国人雇用は企業にとって「信用になる」ということです。これからの時代は、外国人雇用は ” 戦力 ” であると同時に、” ダイバーシティを体現 ” している世界にひらかれた企業であるということをデモンストレートできるのです。

採用枠で、日本人でも外国人でも良い、という職種があるのであれば、ぜひ外国人を採用してみてほしいと思います。そして、その方を会社のスポークスマン的な顔に抜てきし、多様性を求めている企業である、ということをアピールするのです。これからの時代はこれがすごく重要なポイントになると思います。

おかげ様で我がジャパンインバウンドソリューションズ(JIS)は創業以来4期連続増収増益。今期(5期目)も社業は順調です。その背景の1つには、外国人採用を積極的にやっている事ではないかと思います。事業で「心の開国をしていこう」と言っている我々が、日本人だけでやっていたら説得力がありません。日本の社会に対して説得力をもつために「心の開国」を有言実行し、事業を伸ばし続けていく心意気も含め、日本の未来のショーケースとして、示していければと思います。

JISには、韓国・中国・台湾・ベトナム・タイ・USA・ドイツ・フランスなどの多様な社員が在籍していますので、それぞれの国々との絆・リレーションは日本人単独の組織よりも強いのではないかと思います。それだけが理由ではありませんが、それがJISのブランド力であり発信力であり、様々なビジネスチャンスを呼び寄せているのだと自負しています。

また、人は環境によって変わります。環境が人をつくります。ダイバーシティを唱えるよりも、環境を作ることによって日本人が変わる、ダイバーシティを体現した職場をつくっていくことが、社員ひとりひとりの成長や可能性を結果的に広げてあげることになるのではないかとも思います。

竹内 ダイバーシティな環境をつくることによって、社員と企業の可能性をひろげるということですね。

中村社長 大学・大学院以来哲学が私の専門分野です。哲学は「人間とは何か?」「人類とは?」「論理とは?」「正義とは?」という話になりますので、国籍とか民族とかそういう区別はレイヤーが一つも二つも下がるのです。最初に同じ人間同士という共通のレイヤーがあるのであって、国籍や宗教が違うというのはさして重要な事ではないのです。

竹内 日本の組織は、まだまだ国籍や宗教や言語の違いなど、そこのあたりを重要視している人が多い。

中村社長 それはなぜかというと、日本は明治維新の時、「和魂洋才」ということで、神道、朱子学、儒教が習合した考え方をもちながら、ヨーロッパから工業技術や縫製業などの必要な技術だけを取り入れたのです。その時、ヨーロッパや北米の哲学など普遍的なものは排除してしまいました。日本は、科学技術や社会科学だけをヨーロッパから輸入して、哲学などの本質的なものを受け入れてこなかった、そのつけがいま回りつつあるだと思います。普遍の追求、共通の理念、そういう哲学を持ち、今こそ本当に世界の現代文明の源流となった理念や考え方を受け入れていく必要があるのだと思います。

竹内 日本は「国籍や宗教が違うというのは大して重要な事ではない」という事が受け入れられにくいのも事実です。論理的には、国籍や宗教の違いは最重要なものではないというのは分かってはいるのですが、まだまだ日本の組織は、「今年は日本人を何人、留学生を何人採用する」というようなことをやっているのです。当社としては、日本の組織が外国人雇用をうまく活用できるようにし、彼らの事業が伸び、日本の税収を伸ばし、社会の継続性を追求したいと思います。この日本社会を潰すわけにはいきませんので、日本の良いところは発信していきながら、世界から学ぶべきことは学んでいかなければなりません。

中村社長 当社はインバウンドというフィールドから、グローバルパワーは人材というフィールドから、微力ながらこの国に風穴をあけていければと願っております。

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社グローバルパワー 代表取締役 1974年東京生まれ、群馬県藤岡市育ち。米カリフォルニア州立大サクラメント校を経て、1998年外資系ワイン商社に入社。2003年フルキャスト入社、05年社内ベンチャーとして外国人留学生採用支援事業部の設立に参画。09年事業部のMBO(経営陣による自社買収)を経て、グローバルパワーを設立。一般社団法人 外国人雇用協議会 発起人・理事。