語学教材のプロにきく!外国人社員の日本語教育のお悩み解決!アスク出版 南陽子氏

外国人部下をお持ちのマネジメント層や人事の研修部門のみなさま!「外国人社員の日本語力をもっと向上させたいけれどもどうしたら良い?」「会社として外国人社員にどのような日本語教育の機会を提供すれば良い?」そんな、お悩みはありませんか?

外国人の紹介・派遣サービスを提供しているグローバルパワーでは、クライアントから外国人の日本語教育について、このようなご相談をよく頂きます。

今回は、そんな皆様のお悩みを解決すべく、グローバルパワーユニバーシティが代表をして、語学学習教材のリーディングカンパニーである株式会社アスク出版の南 陽子氏に、お悩みを相談して参りました。

日本語能力試験対策本としてトップシェアを誇る『日本語総まとめ』の出版社だからこそ語れる、外国人社員の日本語学習方法と継続のコツ、語学力向上について会社として必要な姿勢などを伝授していただきました。課題別のオススメ教材も教えていただきましたので、ぜひ参考にしてみてください。

外国人社員教育の日本語教育 お悩み解決!語学教材のプロに直撃!

利重

 本日は、日本企業がかかえる外国人社員の日本語教育のお悩みを、代表をしてお尋ねしたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。早速ですが、お悩み①です。「4月に入社したばかり、新社会人の外国人社員の相談です。ビジネスで使う特有の言い回しや業界用語などがわからず、会話についていけないようです。留学生から新社会人になったばかりの外国人社員に対しては、どのような日本語教育をするのが望ましいでしょうか。」

南 陽子氏

 まずは、仕事で必要な言葉・業界特有の用語や優先して学んでいき、あとは会社の中で都度わからない言葉があれば学んでいく形が良いと思います。留学生時代に、留学生しか在籍しない学部や、英語で授業をする学校を卒業した方だと、日本語能力試験N 1を取得していたとしても、実は ” 日本語の会話に慣れてない ” という可能性があります。

また、大学では日本語を学ぶというよりも、学部の専攻内容を学びますので、日本語学習から離れている方も少なくありません。日本語能力試験でN1を取得されているような方であれば、日本語の基礎があり、漢字も読めると思いますので、仕事に特化した言葉や言い回しを知識として入れてあげるのが一番良いと思います。

日本語教材でも、IT業界に特化したもの、商談に特化したものなど様々な教材がありますので、外国人社員の方が不足している言葉を補ってくれる教材を選んでいただくと良いでしょう。

オフィスシーンで遭遇する場面別に、日本語の表現が学習できる教材としては、こちらがおススメです。

わかるビジネス日本語 新装版―BJTビジネス日本語能力テスト入門 BJT Bijinesu Nihongonouryokutesuto Nyuumon Wakaru Bijinenesu Nihongo

 

利重
お悩み②です。「 外国人社員の書類作成の精度が低いと感じています。口語が混じっていたり、敬語が間違えていたり、何を伝えたいのかがわからない書類になっている事もあります。外国人社員の文章作成能力を向上させるには、どうすれば良いのでしょうか。」
南 陽子氏

まずは、外国人社員の方に自分で書類作成をしてもらい、その内容に対して上長や人事の方が添削、良い点や悪い点を都度フィードバックしてあげる形が一番良い方法ではないでしょうか?

文章というのは、それぞれ「目的」があり、「誰宛に書くのか」という事をわかっていなければ適切な文章を書く事が出来ません。希望した内容とは別の内容の書類が出来上がってしまう場合は、もしかしたら文章作成の目的が伝わっていない可能性があります。文章作成をお願いする際には、「どんな目的で」「誰宛に書くのか」を明確に伝え、理解をしてもらいましょう。

また、「どんな目的で」「誰宛に書くのか」を伝えたあと、本当に理解しているかどうかを必ず確認してください。「わかりましたか?」と質問すると、多くの方が「わかりました」と回答されるのですが、実際には理解していない事も多々あります。「どんな目的の書類ですか?」「誰宛に書く文章ですか?」と具体的に質問するなどして、理解度を確認しましょう。

当社が出版している書籍で『日本語ビジネス文章マニュアル』というものがあります。社内外の文章の書き方と敬語の使い方がよくわかる本で、これは、外国人社員の方が1冊もっていると便利な本です。英語・中国語・韓国語で訳がついており、母語でより深い理解が可能です。

また、文章作成能力を向上させる方法として、月に1回、文章作成の課題を出し、提出してもらい、日本語の表現や書き方を添削してあげるという方法があります。仕事と関係ないことを書かせても身になりにくいので、仕事に関する内容での課題をお勧めします。”自分で調べながら文章を書いてもらい、それを添削をしてあげる” という事を何度かしていくと、文章作成スキルは確実に向上します。


仕事で使う! 日本語ビジネス文書マニュアル Nihongo Bijinesu Bunsho Manyuaru

 

利重
お悩み③です。「外国人社員がクライアントに対して敬語がうまく使えません。また、クライアントにストレートな言い方をしてしまうなどの課題があります。このような課題がある場合、どのような勉強をしてもらうと良いのでしょうか。」
南 陽子氏

日本語能力試験のN1レベルの方は、敬語の知識はあるはずです。知識はあるが、使い方や使うシーンがわからないという方が大半だと思います。

そういう場合は、実務の中で、敬語がうまく使えているかどうかを確認し、その都度、修正・アドバイスをしてあげると良いと思います。また、ストレートな言い方をしてしまう方も同様で、クッション言葉の知識がない、または使い方がわからないという状況だと思いますので、その都度、修正・アドバイスをしてあげると良いでしょう。敬語やクッション言葉の知識自体が曖昧な方は、特化した教材がありますので、その教材をつかって知識を高めていただくと良いでしょう。

敬語がどうしても難しい方は、無理に敬語を使わず「丁寧語で書く」ことに徹して頂くと良いと思います。尊敬語・謙譲語を無駄に使ってしまったり、間違ってしまうと、わけが分からない文章になってしまう可能性があります。無理して敬語を使うよりも、丁寧語でシンプルに書く、話す、をする方が伝わります。

にほんご漢字トレーニング (初級が終わったら始めよう) Shoukyuu ga Owattara Hajimeyou Nihongo Kanji Toreeningu

利重
お悩み④です。「外国人社員の日本語が間違っている場合や、発音が悪く聞き取れない場合は、その都度、指摘をしてあげた方が良いのでしょうか。文脈でだいたい何を言いたいかがわかりますし、いちいち指摘をするというのは面倒です。」
南 陽子氏

これは、面倒でも指摘をしてあげてください。

外国人社員は、まず社外で日本語を指摘をされる事はありませんので、社内で指摘をしてあげないと日本語力は伸びません。「日本語の使い方が間違っているところ」「発音が悪いところ」「話をしている内容の意味が分からない事」などの悪いところは、きちんと指摘してあげてください。もちろん良いところも、しっかり褒めてあげてください。

日本にいる外国人の方は、みんな日本語がうまくなりたいと思っています。外国人社員としては、日本語がより上手くなるのですから、指摘をされて嫌な気持ちになる人はいないと思いますよ。

当社は、出版以外に、企業から外国人社員の日本語教育を任され、ビジネスマン向けの日本語研修もご提供しています。以前、会社から当社の研修を受けられた外国人社員の方がいました。その方は、過去に会社から日本語の間違いを指摘をされた事がなかったので、自分がなぜ研修をうけなければならないのか、理解できていない状況でした。研修の中で、日本語の間違い指摘をし、指導をしていくと、日本語能力がメキメキと向上しました。研修が終了した後も、「もっと日本語を学びたい」ということで個人的に教室に申し込みをして頂き、日本語学習を続けてくださいました。

このようなケースから、”指摘をしてあげないと日本語は伸びない”ということと、”外国人はもっと日本語力を伸ばしたいと思っている”ということが言えるのではないでしょうか。

話し方や発音のトレーニングとしてはこのような教材があります。

CD付 1日10分のシャドーイング! 就活・仕事のにほんご会話 Ichinichi 10-pun no Shadooingu! Shuukatsu/Shigoto no Nihongo Kaiwa

この教材は、発音練習もできますので、発音矯正でもお使いいただけます。

発音に関しては、日本語の発音が、母語の発音に存在しないものがあると、マスターすることが難しい場合があります。発音がうまくできないと幼稚に聞こえてしまう事もありますが、ビジネスをする上では正しい発音ができなくても、意味が伝われば良いというシーンも多いと思いますので、受け止める側も寛大でいてもらえればと思います。

利重
お悩み⑤です。「外国人社員の日本語力を伸ばすために、外部の研修やビジネス日本語研修を受講してもらう事を検討しているのですが、選び方や注意することなどがあれば教えてください。」
南 陽子氏

研修や日本語学校の選び方は、「ビジネスで使う日本語をのばしてくれるところかどうか」を確認することです。外国人社員の方は、すでに仕事をされている方ですので、日本語研修を受けることで、 より仕事がしやすくなるような事を教えてもらえるところが良いでしょう。日本語能力試験を取るための研修ではなく、ビジネスシーンで使うレベルの日本語を教えているところであること。また、日本のビジネスマナーは、日本の文化や商習慣によるものが多いですので、そういった文化背景や商習慣も含めて教えてくれるところを選ぶと良いのではないでしょうか。

教室に通うことのメリットは、アウトプットができる事です。その場ですぐに、悪いところを直すことができますし、クレーム対応など実践的なトレーニングができます。クレーム対応は、日本人ですと一旦すぐに謝ると良いことや、クッション言葉を入れるということなどが、大体わかるのですが、外国人社員の場合はその対応の仕方わからないと思います。” 日本の社会ではこうするのだ ” という商習慣も含めて教えてもらえることができます。

また、日本語を学びながらながら仕事をする形になると思いますので、研修で学んだことをすぐにリアルな現場で実践していけますので、定着も早いです。

利重
お悩み⑥です。「 当社の外国人社員は非漢字圏出身のため、漢字が苦手です。漢字の習得はどのようにすれば良いでしょうか。」
南 陽子氏

「漢字」は、語彙と一緒で自分でコツコツ勉強していただくのが一番良い方法です。1つ1つ先生から教えてもらうものではありません。仕事上で、わからない漢字がでてきたら、今はすぐにスマートフォンで調べる事が出来ますのでその都度学んでいただくと良いでしょう。

教材としては、『PRACTICAL KANJI 現代社会を読む700漢字 Vol. 1』というものがあるのでご活用ください。

 

利重 直子
利重
お悩み⑦です。「当社の外国人社員はNHKのラジオを聴くことで日本語力を向上させている様なのです。外国人社員の日本語力を伸ばすために、何か良いツールがあれば教えてください。」
南 陽子氏

NHKのラジオを聞かれているというのは素晴らしいと思います。NHKのアナウンサーは言葉が綺麗ですし、決まったスピードで話をされますので、ラジオで日本語を聞くという方法は良いと思います。 最近は自宅にテレビがない方も多いのですが、テレビでニュース番組を見たりすることは勉強になります。日本の時事や会話の勉強ができますし、語彙力もあがり良いと思います。

また、新聞を読むという方法も良いと思います。社内報がある企業であれば、社内報は読まれることもお勧めします。社内報は、自社に関わりがあることが書かれていますので、社内用語が学べたり、自社商品・サービスの知識向上もでき、一石二鳥ではないでしょうか?

その他、無料の日本語学習アプリやサイトなどもあるのでそちらをご自身で勉強されるのも良いと思います。

利重 直子
利重
お悩み⑧です。「外国人社員に学んでもらう、日本語学習教材の選び方を教えてください。」
南 陽子氏

忙しい社会人の日本語学習は、「無駄なことをしない」ということが大事です。余計なことをせず、自分の仕事に必要なもの、すぐに実践できるものを優先して学習することです。 教材でも、IT業界用語に特化したもの、商談に特化したもの、ビジネス文章作成に特化したものなどがありますので、外国人社員が不足しているもの、必要なものを選択して学んでいただくと良いでしょう。

利重 直子
利重
お悩み⑨です。「外国人社員の日本語学習を、モチベーション高くたもてる方法やコツがあれば教えてください。」
南 陽子氏

やはり、会社や上司が「ちゃんと見てるよ」という姿勢を見せることではないでしょうか?「メールの文章がうまくなったね」「いまの表現はとてもよかったよ」など、日本語が上達したことを都度フィードバックしてあげることがモチベーション維持のポイントです。

同じ部署の方、上長の方が、定期的に日本語力に関する課題をだし、その結果をもとにフィードバックをしてあげる仕組みがあればより良いと思います。

利重 直子
利重
最後の質問です。お悩み⑩「入社5年目で活躍してくれている外国人社員がおります。会社としては、仕事の幅をひろげて社外の対応やマネジメントにも挑戦してもらいたいと考えています。ただ、社外対応や日本人部下のマネジメントをしてもらうにしても、日本語レベルが足りないと感じています。来日してすでに12年たつ社員なのですが、日本語の能力をあげるにはどうしたら良いでしょうか。」
南 陽子氏

社会人5年目となると、いまの日本語レベルで問題なく仕事をこなしている方だとおもいますので、このような場合は「自分の日本語はまだまだ」と認識していただく必要があります。 社外的な仕事をしてもらう際に、日本語の間違いがあれば指摘してあげたり、より良い表現をアドバイスをするようにして、その認識をもってもらうと良いでしょう。

また、日本語に関するテストや外部の評価機関を使うのも1つの方法です。ビジネス日本語に特化したコミュニケーションテストなどがありますので、そのようなテストを受けて頂き、客観的に自分の日本語力をみて頂くと良いでしょう。テストなどは、自分のレベルが客観的にわかりますので、必要なレベルとのギャップを認識する良い機会になります。

何年も日本にいらっしゃる方であれば、ギャップをどう埋めるか、どう勉強していけば良いかという方法は分かると思いますので、ご本人の努力で日本語能力は向上できると思います。

外国人社員の日本語教育 まとめ

外国人社員の日本語教育についてのアドバイス、いかがでしたでしょうか。簡単にまとめると下記となります。

  • 外国人社員の日本語教育は、仕事に直結する実践的な日本語を学んでもらう。無駄なことをしない。
  • 日本語のミスはその都度、指摘・修正してあげる。
  • 資料作成は「誰に」「どのような目的で」作成をするのかを明確に伝え、理解をしているか確認をする。
  • 敬語も都度、指摘・修正をしてあげる。難しい様であれば丁寧語でOK。
  • 漢字は自分で学ぶもの。1つずつコツコツと。
  • ラジオやテレビのニュース番組は◎ 時事問題も学べてよい。
  • 伸び悩みを感じている外国人社員にはテスト等を利用して「自分はまだまだ」と認識してもらう。
  • 研修や教育機関は、アウトプットができるところを選ぶ。仕事に直結する実践的な教室を選択する。

以上です。

尚、語学教材のプロである南 陽子さんに、外国人社員の日本語教育について、お聞きしたい事があれば、質問やコメントをお寄せください。おまちしております。

■アスク出版の語学教材 →  https://www.ask-books.com/category/product/japanese/

■外国人社員向け日本語研修・TOEIC対策・eラーニング → http://www.ask-digital.biz/

ABOUTこの記事をかいた人

利重直子

株式会社グローバルパワー 取締役 1979年 山口県生まれ。広島県の呉大学(現:広島文化学園大学)社会環境情報学部を卒業。大手人材サービス会社の営業を経て、2010年 外国人派遣・紹介サービスの(株)グローバルパワーに入社、2012年 取締役に就任。2017年 外国人雇用とマネジメントのすべてがわかるWEBサイト「グローバルパワーユニバーシテイ」編集長。