現場での外国人マネジメント ~5つの大事なこと・注意点とコツ~

外国人雇用がすすむ中、より外国人従業員に活躍をしてもらう組織づくりが必要です。今回は、実際に現場の日本人マネージャー層が外国人をマネジメントするうえで大事な5つのポイントについてご紹介します。

日本人部下のように、「空気を読んでくれない」「察してくれない」「忖度してくれない」と外国人マネジメントの難しさを感じている、日本人マネージャー陣のお役にたてれば嬉しいです。

外国人マネジメントはグローバルスタンダードにすべきか?

まず、大前提として外国人の社員が増えた場合、マネジメントスタイルは日本式のままで良いのでしょうか。これは、よく質問を受けるテーマです。

マネジメントスタイルは、日本式・欧米式・中国式などそれぞれ特徴があると思いますが、外国人がいる日本企業の組織マネジメントは、基本的には「日本式」のマネジメントスタイルで問題ないと考えています。

理由は、日本で働いている限り、法律や商習慣が日本式で適用される為です。「郷に入っては郷に従え」で、現場のマネージャーは、外国人が入社したからといって、無理に欧米式などのグローバルスタンダードによせていく必要はありません。

ただ、いわゆる欧米式のグローバルスタンダード(?)のマネジメントスタイルは、多国籍で多様性ある組織をマネジメントをする方法として最適なマネジメントスタイルとして発達した形だと思いますので、外国人にとっては合理的でわかりやすいスタイルではないかと思います。

では、さっそく日本式マネジメントをするうえで、大事な5つのポイントをとお伝えしていきます。

外国人マネジメント1.日本語の間違いは指摘してあげる。

マネージャーは、部下である外国人が日本語を間違えた際は、指摘をし、正しい日本語を教えてあげましょう。

日本で生まれ育った日本語がネイティブの外国人ではない限り、外国人は日本語を間違えます。社外に出た外国人は、取引先等で日本語を指摘される事はありません。むしろ「日本語が上手ですね。」とリップサービスを言われる事の方が多いでしょう。

当社(グローバルパワー)に、就職や転職の相談にいらっしゃる外国人の方々に、「あなたの日本語は、ビジネスレベルに達していないので、もっと勉強しましょう」とアドバイスをすると驚かれ、お礼を言われます。彼ら彼女らは、日常生活では「日本語がうまいですね」とよく言われますし、職場においても、日本語について指摘を受ける事がなかったとの事です。指摘もされない為、「自分の日本語は上手い」と勘違いをしていた、との事です。

余談ですが筆者は、日本語をブラッシュアップしたい外国人のみなさんには「日本人が言う ” 日本語が上手いですね ” は、” おはようございます ” と同じぐらいの意味で捉えて良い」と伝えています。また、「職場では『日本語がうまくなりたいので、間違っていたら教えてください』と ”何度もしつこく”お願いをするように。一度お願いした程度では、(日本人は面倒な事なので)教えてくれません」ともアドバイスをしています。

例えば、あなたがアメリカで仕事をしていたとします。何年も間違った英語を使い続けていた、と知ったらどう思いますか?きっと「誰か指摘してよ、はやく教えてよ。」と思うはずです。

日本で働く多くの外国人は「もっと日本語が上手になりたい」「ネイティブのような日本語が話せるようになりたい」と考えています。日本語の間違いを指摘されて嫌な気持ちになる外国人はいません。

語学レベルをはじめとする部下の能力をより向上させ、部下に活躍してもらう事はマネージャーの役目の1つです。より日本語でのコミュニケーション力を向上して欲しいと願うのであれば、しっかり指摘をしてあげましょう。

外国人マネジメント2.「外国人だから仕方がない」と特別扱いをしない。

外国人は日本独自のビジネスマナーや商習慣を知らずにマナー違反をしてしまう事があります。例えば、「目上の人の前で肘をついて話をする」「遅刻をしそうになっても連絡がない」「お客様とため口で話をする」などです。

日本人であれば、幼いころから日本文化で育っている為、目上の人や取引先に対してやってはいけない事は習慣として身についています。また、はじめて遭遇するシーンであっても、「空気を読む」能力が高いので、「あ、これはやってないけない事だな」ということを察知できます。

外国人は、日本式ビジネスマナーや商習慣については、教えてもらわなければ身につく事はありません。日本人以上に空気を読むことができる外国人部下であれば良いですが、そんな方は稀でしょう。

「外国人だから仕方がない」と育成をすることを諦めたり、「外国人にいちいち説明をするのは面倒だから」と、外国人を特別扱いしたりしてしまうと、本人の為になりません。そして、同僚である日本人社員の不満もたまります。

外国人も日本人と同様に企業と日本社会の未来を担う人材として、平等・公平に成長の機会を提供しましょう。

外国人マネジメント3.仕事の指示や考えは、明確な言葉で伝える。

日本は、言葉で表現をしなくても状況や文脈で伝えたいことを相手が理解してくれるという、世界で最もハイコンテクストな文化です。(ハイコンテクスト文化について解説している記事:令和時代 日本人ビジネスパーソンの必須科目とは?~異文化コミュニケーション・異文化理解~

日本人は最もハイコンテクスト文化だと言われていますので、日本人からすると、ほとんどの外国人は、空気が読めませんし、行間を読むことができません。

日本人同士であれば、「アイコンタクト」や「あれ、よろしく。」で伝わるものが、外国人には伝わりません。したがって、コミュニケーションは、できるかぎり明確で具体的である必要があります。「あれ」とは何か、「よろしく」とは具体的にどうして欲しい事なのかを、曖昧さを排除し、明確な言葉で相手にしっかり伝えましょう。

明文化された仕事の指示は、勘違いが起こらず無駄がありません。これは、外国人に限らず、日本人同士でもメリットがあるのではないでしょうか。

外国人マネジメント4. 理由+メリット・デメリット を伝える。

外国人に何かを伝える際には、理由をきちんと説明しましょう。日本企業独自のルールや日本式ビジネスマナーは外国人にとっては理解しづらいものも多く、時には理不尽に感じる事もあります。

もし、外国人部下に「なぜ朝礼をするのですか。」と質問された場合、どのように回答しますか?「ルールだから」と回答していませんか。

果たして「ルールだから」で心から納得をし、合意をしてくれる外国人はいるでしょうか。この場合、「朝礼は、経営理念の浸透、お客様に気持ちの良い挨拶をする練習、社員同士のコミュニケーションの強化、業務の進捗状況の共有の為に実施していますので、参加をしてください。」と、理由を伝えるだけでも納得感が違います。

また、お客様とため口で話をしてしまう外国人に対しては、どのように伝えれば良いでしょうか。

「お客様とは敬語で話をしてください。なぜなら、日本では目上の人やお客様とため口で話をすることはマナー違反で、あなたと会社の評価をさげます。取引にも影響をしますので敬語を使ってください。」と、注意をする理由とデメリットまできちんと説明をすると良いでしょう。

日本人は、文化的背景から人に注意をする際に「これをやると周囲にどれだけ迷惑がかかるか」ということを力説してしまいがちですが、外国人の場合「相手に迷惑がかかる」という事に関して、感度が比較的低く、力説されてもひびかない事もあります。

筆者の経験上、外国人部下に、注意をしたり、行動を改めて欲しい旨を伝える場合は【理由+メリット・デメリット】での伝え方がより効果的でした。「行動を改める事であなたにとってどんなメリットがあるのか」「行動を改めないと、あなたにとってどんなデメリットがあるのか」を具体的に伝えることで、感情的ではなく合理的にうけとめてもらえ、改善につながりました。

もし、外国人に「ルールだから」という理由でしか説明できないルールがあるとすると、もしかしたらそのルールは会社にとって必要ないルールなのかもしれません。

外国人マネジメント5.定期的にキャリアパスについて話をする

外国人は、終身雇用・年功序列・ジョブローテーション・人事評価の仕組みなど日本独自の制度を知りません。

生まれながら日本に住んでいる日本人であれば、両親の働く姿を見たり、先輩の働く様子を見たりして育ってきているので、日本の企業文化や制度に関して、1つ1つ詳しい説明をしなくてもなんとなく理解をしているものです。

例えば、サービス業では ” お客様を知り現場を知る ” という目的で、新入社員は接客現場に研修として配属されることがあります。その際、日本人であれば、それなりに理解をして何も言わずに現場での仕事を遂行しますが、外国人の場合は「なぜ大学まで卒業をした私がアルバイトのような仕事をやらなければならないのか。」「この仕事は自分の語学力を活かせない。」「いつまでたっても海外進出に関する仕事をやらせてもらえない。」と不満になり離職につながります。

人事評価制度においても同様です。昨今、日本企業では成果主義の傾向が強くなっていますが、まだまだ、” 仕事に対する姿勢 ” などの定性的な部分で評価をする部分もあります。定性的な評価は、外国人からすると「どうやったら給料があがるのか」「どうやったら昇進できるのか」が分かりづらい項目です。

急に人事制度を変えることは難しいと思いますので、定性的な評価項目があるのであれば、その旨をしっかり伝え、具体的に「どのようなコンピテンシーであれば高く評価をされるのか」を、できるかぎり明確に示してあげると良いでしょう。

日本人でも同様ですが、「この会社にいれば自分は成長できる、自分の未来は明るい」と思える組織は魅力的です。

日本の企業制度を知らない外国人には、「何年後にはどのような役割を担ってほしいと考えているのか。」「そのためにどのようなスキルや経験をみにつけて欲しいのか。」ということを、日本人以上に頻繁にお話をする機会があると良いでしょう。

現場での外国人マネジメントのまとめ

現場での外国人マネジメント 大事な5つのポイントをご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?

・ポイント1.日本語の間違いは指摘してあげる。
・ポイント2.「外国人だから仕方がない」と特別扱いをしない。
・ポイント3.仕事の指示や考えは、明確な言葉で伝える。
・ポイント4. 理由+メリット・デメリット を伝える。
・ポイント5.定期的にキャリアパスについて話をする

日本の文化で生まれ育った日本人である筆者にとっては、「何事も言葉で明確に伝える事」「理由+メリット・デメリットまでしっかり相手に伝える」という2点については簡単な事ではなく、いま現在においても、常に意識をしながらコミュニケーションをとりうまく伝えられなかった事に反省する日々です。

また、「定期的にキャリアパスについて話をする」については、現代のマネージャー陣はプレイヤーとしての役割も担ってる事が多い為、部下の一人ひとりにしっかり向き合い、未来について定期的に語る時間が捻出できない、というのが実態でしょう。

それでも、これから多国籍で多様性ある日本社会を迎えるにあたり、いまからトライ&エラーをしながら組織改革を1歩1歩、前にすすめることに意味があると考えます。

ぜひ、上記の5つのポイント以外にも、何かあれば教えていただければ幸いです!

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ABOUTこの記事をかいた人

利重直子

株式会社グローバルパワー 取締役 1979年 山口県生まれ。広島県の呉大学(現:広島文化学園大学)社会環境情報学部を卒業。大手人材サービス会社の営業を経て、2010年 外国人派遣・紹介サービスの(株)グローバルパワーに入社、2012年 取締役に就任。2017年 外国人雇用とマネジメントのすべてがわかるWEBサイト「グローバルパワーユニバーシテイ」編集長。