日本語能力試験で「会話力」は測れない!「日本語レベル≠仕事の能力」

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日本人読者の皆さんは、TOEIC・TOFLE・英検など何かしらの語学試験を受験された事があると思いますが、日本語も日本語力に関する資格試験があることをご存知ですか?

今回は、日本語を勉強する外国人に圧倒的な知名度を誇る日本語能力試験(JLPT)について解説します。外国人採用や雇用時の選考にぜひお役立てください。

1.日本語能力試験(JLPT)とは?

日本在住の外国人留学生や外国人社会人の方々の大半は、日本語能力試験=JLPT(Japanese Language Proficiency Test)という試験を受けています。

日本語能力試験は、日本語を母語としない人の日本語能力を測定し、認定する最大規模の試験として1984年から実施、20年以上の歴史があります。

毎年、7月と12月の2回にわたり実施され、2017年時点で海外80の国と地域、239都市、日本国内47都道府県を会場として開催されています。

主に、日本語を「読む能力」と、日本語を「聞く能力」を測定しておりN1~N5までのレベルに分かれ認定をされる仕組みになっています。

日本語能力試験

上記の図にあるように、N1になるほど日本語レベルが高くなります。来日してまもない日本語学校(語学学校)の留学生ですとN4レベルが大半で、そこから1~2年かけて日本語を勉強し、N2・N1レベルまでにあげていくイメージです。

ちなみに「N1」の読み方ですが、日本語能力試験を運営する機関に確認したところ、特に読み方に決まりはなく「エヌワン」「エヌイチ」どちらの読み方でも構わないそうです。

2009年以前は、1級・2級という基準でしたので、「日本語能力試験1級」という表現をされる方もいらっしゃいます。(2010年改定)

ご参考までに新旧表をご紹介いたします。

日本語能力試験 新旧比較

2.日本語能力試験N1の合格率(認定率)はどのくらい?

外国人を雇用をする際に、「日本語能力試験N1レベル」を採用基準なり選考の目安にされる企業の方が多いと思いますが、実際にN1の合格率はどのくらいなのでしょうか。

少し古いですが、2017年の試験データは下記となります。(https://www.jlpt.jp/statistics/archive/201702.htmlより)

【国内外での受験者:483,274名】

・N1認定:31.5%
・N2認定:35.5%
・N3認定:37.8%

想像よりも合格率は高かったでしょうか?低かったでしょうか?

では、実際に日本語能力試験がどんなものなのかを紹介したいと思います。(https://jlpt.jp/samples/pdf/N1-mondai.pdf より)

日本語能力試験N1 例 日本語能力試験N1 例2 日本語能力試験N1 例3

以上です。いかがでしたでしょうか?

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、日本語能力試験は「漢字」がある程度わからないとテスト自体の理解ができません。出身国が中国・台湾・香港・韓国・華僑系の方などの漢字圏の方には有利ですが、非漢字圏の方にとっては非常に困難な試験となります。

3.日本語能力試験で「会話力」はわからない。

日本語能力試験の結果において、注意しなければならないポイントがあります。それは、日本語能力試験は「日本語の会話力」をはかるテストではないという事です。

日本語能力試験は、あくまでも「読む力」「聞く力」をはかるもので「書く力」「会話力」を見極める事はできません。

では、「書く力」「会話力」を見極めるにはどうすればよいのでしょうか。

「書く力」を確認する方法

1つ目は履歴書、職務経歴書の記載内容を確認することです。レジュメの内容でおおよその文章作成能力をはかる事ができると思います。

ただし、あまりに完璧ですと学校の先生や日本人にネイティブチェックしてもらった可能性がありますので、面接時に「この履歴書は全部自分で文章作成しましたか?」「誰かに文章をチェックをしてもらいましたか?」などと確認されると良いでしょう。少し単語を間違えていたり不自然な表現がまざっている方が自分で一生懸命つくった可能性が高いと言えるでしょう。

「カタカナ」は、実は外国人にとって一番難しい言葉です。なぜなら、英語などの海外から入ってきた言葉を、日本人の耳でききとった音を日本語で表現した言葉がカタカナだからです。履歴書・職務経歴書が間違えていた場合は、かなり高い確率で自分で書いたと思って良いでしょう。

2つ目は、面接時に筆記テストや小論文など簡単な文章作成をしてもらう事です。インターネットや日本人ネイティブに教えてもらえる人が近くにいない状況でどれだけ「書く力」があるのかを確かめられる確実な方法です。

「会話力」を確認する方法

会話力をたしかめる方法は「実際にお話をしてみる」事につきます。

日本語能力試験N1認定者でも会話力は人によって差があります。N1レベルでも会話力が低い方はいますし、N2レベルでも流暢な会話ができる方は多く存在します。実際に日本語での「会話力」を確かめるには、直接会って話をしてみる事が一番です。会う事が難しい様であれば、電話やスカイプなどで簡単な会話をして見るのも良いでしょう。

外国人人材サービスに携わりかれこれ8年になりますが、個人的な印象ですと、漢字圏出身者でN2までしか取得できていない方は会話力も低い事が多く、非漢字圏の方でN2取得をしていれば日常会話は問題ない方が大半です。

非漢字圏出身者でN1を取得されている方は相当な努力をされているはずです。漢字をはじめ、日本語をかなり勉強されていますので、日本人でも使わないような単語や言い回しをしていてびっくりすることがあります。非漢字圏出身者で日本語能力試験N1取得者に会った際にはぜひ称賛を送ってあげて頂ければと思います。

4.日本語能力試験以外の日本語試験は?

日本語能力試験(JLPT)の他に、日本語能力を測る試験は下記です。

日本語能力試験(JLPT)
BJTビジネス日本語能力テスト
J.TEST実用日本語検定(ビジネス)
日本語NAT-TEST
標準ビジネス日本語テスト
TOPJ実用日本語運 用能力試験
J-cert生活・職能日本語検定
JLCT外国人日本語能力検定
実践日本語コミュニケーション検定・ブリッジ(PJC Bridge)
JPT日本語能力試験

上記は、出入国在留管理庁が、在留資格(ビザ)審査の際に、参考としている9つの試験です。

最も、受験者数が多く圧倒的に知名度が高い試験が日本語能力試験(JLPT)、その次がBJTビジネス日本語能力テストです。日本語能力試験(JLPT)は、試験が年2回に対し、BJTビジネス日本語能力テストは、いつでも受験することができ、すぐに結果がわかるという特徴があります。

5.「日本語レベル≠仕事の能力」

外国人材の採用に慣れていないうちは、とても流暢な日本語を話す外国人材に会うと優秀な人材に見えたり、逆に日本語がうまく話せない外国人に会うと優秀な人材に感じないという現象が起こります。

これは、日本語能力にまどわされてしまい、本来もちあわせているヒューマンスキルや論理的思考などのコンセプチュアルスキルを見失っている状態です。

少しきつい言い方をすると「日本語がうまいからと言って仕事ができるとは限らない」というのが事実です。もちろん日本語能力は本人の重要なスキルの1つではありますが、日本語能力は入社後でも向上できます。

外国人雇用のフロントランナー企業では、日本語能力はあとからでも伸ばせる能力として重要視しない選考・採用をしています。

参考になるインタビュー記事がありますので、ぜひご覧ください。

・「熱意があれば語学は向上。その人がいまどれだけの“未来価値”を持っているかに注目」外国人雇用企業へのインタビュー (株)ジャパン インバウンド ソリューションズ 代表取締役社長 中村好明氏

・「日本語やスキルは社内教育で補う事が出来る」 外国人雇用企業へのインタビュー 株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド 上席執行役員 中岡俊也氏

貴社は、日本語がうまい人を採用したいですか?ヒューマンスキルが高い人を採用したいですか?地頭が良い人を採用したいですか?「日本語レベル≠仕事の能力」です。ぜひ、日本語能力にまどわされず、貴社が必要な能力を見極めて頂ければと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

利重直子

株式会社グローバルパワー 取締役 1979年 山口県生まれ。広島県の呉大学(現:広島文化学園大学)社会環境情報学部を卒業。大手人材サービス会社の営業を経て、2010年 外国人派遣・紹介サービスの(株)グローバルパワーに入社、2012年 取締役に就任。2017年 外国人雇用とマネジメントのすべてがわかるWEBサイト「グローバルパワーユニバーシテイ」編集長。