外国人の人材紹介会社・人材派遣会社 ~選び方のコツと注意点をおさえよう~

日本で働く外国人が127万人(2017年10月末時点)と過去最高を記録、外国人雇用を積極的にすすめる日本企業も多くなったと感じておりますが、貴社はいかがでしょうか。

「外国人ってどうやって採用する?」という外国人の採用方法については、外国人採用9つの手法!「虎の巻」メリットとデメリット 一挙公開!の記事でご紹介しましたが、今回は外国人の紹介会社と派遣会社の選び方とコツについてご紹介します。

筆者は、日本人の派遣会社・紹介会社(現場作業員系・販売系・オフィス系)、外国人の派遣会社・紹介会社(現場作業員系・販売系・オフィス系)の在籍経験があり、人材業界歴15年以上になります。

内部にいるからこそわかる事情など、できるかぎり赤裸々にお伝えしたいと思います。

■目次

  1. 許認可はあるか。コンプライアンスは徹底されているか。
  2. どの分野に強い会社なのか。得意・不得意分野を見極める。
    2-1.外国人の派遣会社の分類
    2-2.外国人の紹介会社の分類
  3. エージェント(営業・コンサルタント)の質と相性
    3-1.入管法・派遣法・労働基準法などの法律面にあかるいか。
    3-2.外国人材市場や業界知識、企業理念や社風、人物像(性格・考え方)を理解してくれているか。
    3-3.エージェントの人柄・相性はどうか。
  4. 組織体制 一気通貫型か分業型か?多言語対応とフォロー体制
    4-1.一気通貫型と分業型
    4-2.多言語対応とフォロー体制
  5. 求職者の集客方法を確認する
  6. まとめ 外国人の人材紹介会社・人材派遣会社 選び方コツと注意点

1.許認可はあるか。コンプライアンスは徹底されているか。

日本で人材紹介事業(人材紹介)・労働者派遣事業(人材派遣)を営むには、国の許認可事業となります。したがって、人材紹介会社・人材派遣会社として人材サービスを提供するには、許認可を受けている必要があります。

許認可を受けている会社であれば、「許認可番号」がホームページや契約書等に記載をしているはずですので、許認可をうけてサービス提供をしている企業なのかどうかを確認をしましょう。

当社グローバルパワーであれば、下記のような許可番号になります。
【人材派遣の場合】一般労働者派遣事業許可番号/ 派 13-300582
【人材紹介の場合】有料職業紹介事業許可番号 /  13-ユ-300395

厚生労働省の許認可があるかどうかは、下記のサイトで調べることができます。

厚生労働省職業安定局 人材サービス総合サイト
人材派遣免許があるかどうかの検索はこちらです。
人材紹介免許があるかどうかの検索はこちらです。
※免許の停止や業務改善命令の履歴もチェックできます。

なかには、人材紹介・人材派遣の許認可がなく「コンサルティング費」等の名目で、企業に人材を斡旋する企業もあります。契約内容と実際のサービス内容に相違がなく合法内であれば問題ありませんが、不安な場合は、顧問弁護士等に一度確認してから取引をはじめることをおすすめします。

また、日本においては、下記の例外をのぞき求職者から手数料を徴収することは禁止されています。

【例外】求職者から手数料を徴収して良い場合は下記です。
・「芸能家」「モデル」
・「経営管理者」「科学技術者」「熟練技能者」の職業で年収700万円以上の場合
 求職者からの手数料徴収に関するくわしい内容はこちらです。

したがって、貴社に派遣された派遣社員や紹介された人材が、派遣会社・紹介会社からなにかしらの手数料を徴収されている場合は、手数料の内訳を取引企業に確認をしましょう。

派遣会社にありがちな例として、「業務管理費」「教育・研修費」「システム利用料」などの名目で実質的な手数料を徴収していることもあります。外国人の派遣社員が派遣会社で不当な扱いをうけている場合、派遣先である貴社も責任を問われる事があります。「あれ?」と思った事があれば、すぐに確認をして問題解決につとめる、取引を見直すなど注意が必要です。

その他、外国人の人材紹介・人材派遣のサービスを利用するにあたり、労働基準法・労働者派遣法・入管法など様々な法律が関わります。コンプライアンスを遵守した運営がなされている会社かどうかを確認して選定しましょう。

2.どの分野に強い会社なのか。得意・不得意分野を見極める。

外国人の人材紹介会社・人材派遣会といっても、得意・不得意があり会社によって様々です。どのような外国人材が必要かによって、オーダーをする会社を変える必要があるので注意しましょう。 技術者を派遣して欲しいのに、販売職につよい強い派遣会社にお願いをしても、「いつまでたっても人材の提案がない・・・」ということになりかねないので、しっかり見極めましょう。

2-1.外国人の派遣会社の分類

派遣会社の分類は下記です。「どの業界・職種に強いか」という軸と「1日単位の短期に対応できるか、長期に対応をするのか」の軸で分類されます。この傾向は、日本人の人材派遣会社も外国人の人材派遣会社も同様で、なぜ、このような分類になるかというと、求職者へのPR(集め方)や組織体制・オペレーションが変わってくるためです。

技術者を集めたい場合は、派遣会社として技術者が働きやすい制度をつくったり、技術者が興味をもちそうなワードで会社をPRするなどの必要がありますし、販売職を希望する求職者をあつめたい場合は、女性に好感をもってもらえるようなPRが必要です。

また、会社としても業界や職種に特化した方が、会社としての知見が深くなり、よりクライアントにとって痒いところに手が届くサービスが提供できるようになるためです。(ご参考までに:当社グローバルパワーの得意分野は、長期のオレンジカラー系職種と、長期のホワイトカラー系職種の人材派遣です。)

上記の分類のほか、会社によって海外から招聘する海外採用か、国内採用かという分類もあります。

2-2.外国人の紹介会社の分類

次に、紹介会社の分類は下記です。人材紹介会社も派遣会社と同様に、業界・職種によって得意・不得意分野があります。紹介会社の場合は、「どの業界・職種に強いか」という軸と「どのぐらいの年収レンジか」の軸で分類されます。

こちらも、求職者へのPR(集め方)やオペレーションが変わってくるため、業界・職種、年収層で会社のサービスが分かれます。年収800万円以上の管理職ポジションの求職者面談に、社会人1年目のエージェントが対応するとサービスにおける満足度に関わるので、扱うポジションの年収レンジによって、会社の人員体制・採用戦略も変わってきます。

(ご参考までに:当社グローバルパワーの得意分野は、オレンジカラー系・ホワイトカラー系のジュニア~ミドル層までです。技術系の人材紹介実績はありますが、得意とは言えません。)

上記の分類のほか、会社によって海外から招聘する海外採用か、国内採用かという分類もありますし、新卒採用だけに特化している会社もあります。

3.エージェント(営業・コンサルタント)の質と相性

上記の1と2は最低限おさえるべき項目ですが、何よりも大事なものは、「人材エージェントの質と相性」です。

3-1.入管法・派遣法・労働基準法などの法律面にあかるいか。

外国人の採用をするうえで関わってくる法律が、入管法・労働者派遣法・労働基準法です。企業の人事担当の場合、労働基準法は理解されていると思いますが、入管法・派遣法は「あれ、どうだったっけ?」となる部分もあるかと思います。

その際に、人材会社のエージェントが法律面にあかるい方であれば、「それは派遣法違反になるのでできませんよ。」というアドバイスをもらえたり、外国人を採用する際にも、在留資格の手続きをしっかりサポートしてもらえます。

派遣法・入管法ともに、雇用主・派遣先企業の責任が問われますので、法律面にあかるくコンプライアンスを遵守できるエージェントを貴社の採用チームの一員として味方にしておくと良いですね。

3-2.外国人材市場や業界知識、企業理念や社風、人物像(性格・考え方)を理解してくれているか。

外国人の人材会社に依頼をする際に、外国人の人材市場について詳しく、採用をしようとする業界や職種に理解があるエージェントだと良いでしょう。

例えば、日本国内で外国人採用をしたいと思った場合、イメージするスキルをもつ外国人がそもそも存在しない場合、いつまでたっても紹介をしてもらえず、採用が実現することはありません。市場感に詳しいエージェントですと「この条件だと日本国内にいませんので、海外採用をしてみませんか?」という提案や、「この年収だと業界の中では低い方なので、もう少し年収をあげるか、スキル条件を下げてみてはいかがですか?」というアドバイスがもらえます。

採用企業の理念や社風、欲しい人物像(性格面や考え方)などをしっかり理解をしてくれ、目的や課題解決にむけて伴走してくれるエージェントに出会えると企業にとっては一生の財産です。

社風や人物像というものは、数値化できませんので、エージェントは明確に表せない事柄を空気感やイメージでとらえる能力が必要です。これは、エージェントの感性・感度が要求される部分です。

また、求職者は人間であり企業は人間が構成する組織であるため、どうしても自己評価と他社評価の違いが発生します。その違いを微調整したり補足したりするのはエージェントの役割で、エージェントの腕、センスのようなものが必要になります。

いくら仕事の能力・スキルが高い人材を紹介してもらっても、社風になじまない・企業理念と考え方が合わない人材は活躍しづらい状況です。その部分を見極められる感性・センスをもちあわせたエージェントに出会えるとマッチング精度が向上します。

このように、会社のことをよく理解してくれるエージェントが味方になると、こまかい要望をいちいち伝えなくても、電話一本、阿吽の呼吸で必要な人材の紹介をしてもらえるようになります。また、「社長が好きそうな人材がいますが会ってみませんか?」というざっくりの提案がたまに来て、会ってみたらズバリとその会社に合う人材が採用できた、という事もあります。こうなると非常に効率が良いですね。

相性が良いエージェントに出会ったらしっかりキープし、定期的に情報交換をして会社の考えを伝えておき情報のアップデートをしておいてもらうと良いでしょう。

3-3.エージェントの人柄・相性はどうか。

人材ビジネスは「人」を扱う仕事のため、「あなたに転職の相談をしたい」「あなただから仕事の悩み(本音)が話せる」というように、「あなただから」という動機でご縁がはじまり、「あなただから」という理由でご縁が続く事が多いです。

また、全く興味がなかった業界や会社のことを、「この業界は面白いよ、この会社はすごいよ、ちょっと話をきいてみない?」と、魅力的な人から言われたらどうでしょうか?「ちょっと話をきいてみようかな」という気持ちになりませんか?反対に、不愛想で礼儀もなくこちらの立場も考えずに一方的に話す、など人として決して魅力的とは言えない人から「この業界は面白いよ、この会社はすごいよ、ちょっと話をきいてみない?」と言われたらどうでしょうか?言うまでもありません。どのエージェントに依頼をするか、で求職者を振り向かせる確率が変わってきます。

2019年8月現在は、未曾有の人不足で求職者を企業が取り合う市場感です。こういう市場感のときこそ、エージェントの人柄で差がつきます。人として魅力的なエージェントを多くかかえている企業は期待できる、と思って良いのではないでしょうか。

4.組織体制 一気通貫型か分業型か?多言語対応とフォロー体制

外国人の人材紹介会社、派遣会社が、どのような組織体制かによっても見極めるポイントがあります。

4-1.一気通貫型と分業型

人材サービス企業の組織体制は、「一気通貫型」と「分業型」に分類されます。

「一気通貫型」は、1人のエージェントが、求人企業の対応から求職者対応まですべてを担当します。具体的には、求人企業開拓・求人獲得・要件調整やアドバイス・求人票作成・求職者へのスカウト・求職者面談・書類作成アドバイス・書類推薦・面接日程調整・面接同行・入社手続き(在留資格手続き)・入社後フォローです。

「分業型」は、企業対応をする営業担当と、求職者対応をするキャリアアドバイザーで分業をします。企業側の情報をにぎる営業と求職者側の情報を握るキャリアアドバイザーが密に連携をとり、チームワークで目的を達成させます。

「一気通貫型」の良い点は、企業側の情報も求職者側の情報も1人のエージェントが握っていますので、マッチングの精度があがります。求人企業の考え方や空気感を肌で感じているエージェントが、直接、求職者に情報を伝える事ができますので、伝える内容がずれたり漏れたりする確率が減り、情報の質が高くなります。ただ、1人のエージェントがすべての業務を担当するため、対応できる求人数に限りがあり、状況によってはスピード感に欠けると感じることがあるかもしれません。

「分業型」の良い点は、企業側の担当は、求人企業の開拓とフォローに集中でき、求職者側の担当は求職者のケアに集中できるため、チームワークでより多くの求人企業の採用を実現、より多くの求職者の転職の実現ができるという点です。ただ、企業側の担当と求職者側の担当の情報共有がうまくいっていないと、マッチング精度が低くなり、企業側・求職者ともに満足度が低くなってしまう可能性があります。

派遣会社は分業型、紹介会社は一気通貫型の傾向があり、紹介会社でも、会社の規模が大きくなると分業型に移行する企業もあります。(ご参考までに:当社グローバルパワーでは、一部分業型の一気通貫型です。両者の良い点・悪い点を補完するハイブリッド型で鋭意運営しております)

「人材会社に依頼をしたものの、どうもイメージとは違う人材の推薦が多い」「依頼をしたものの一向に候補者の推薦がない」という場合は、もしかしたら人材会社の組織体制に課題があるのかもしれません。

4-2.多言語対応とフォロー体制

外国人の人材紹介会社・派遣会社は、多言語対応できる企業を選ぶ方が良いのでしょうか。それは、どのような人材を採用したいかによって変わります。

例えば、技術者を海外から招聘するような海外採用の場合、求職者である技術者が日本語が十分に理解できない方が多いので、現地の言葉でコミュニケーションができるような組織体制があった方が良いでしょう。また、派遣社員として勤務したあとに職場でトラブルなどが発生した際には、派遣会社の営業担当・エージェントに通訳として入ってもらい問題解決をするなどの役割も担ってもらえます。

反対に、国内採用で日本語がビジネスレベル以上の外国人を採用する場合、求職者が日本語でのコミュニケーションに困らない事が多いので、多言語対応は「絶対に必要」とは言い切れません。ただ、やはり第2言語の日本語よりも第1言語の母語の方が本音を伝えやすく、より物事を理解しやすいという傾向はあると思います。

日本で働く外国人の多くはアジア出身です。多言語対応できるフォロー体制を希望するのであれば、日本語+英語だけではなく、中国語、韓国語、ベトナム語など、採用ターゲットとなる国や人材の母語対応ができる企業を選定すると良いでしょう。

5.求職者の集客方法を確認する

人材紹介会社、派遣会社との契約をやみくもに増やしたところで、希望の人材が確保できるとは限りません。

人材会社も企業が求人活動で使う様な求人媒体や求職者データベースを使って、求職者にスカウト・アプローチをする事もありあます。たとえば、下記の図で人材紹介会社、各社の集客方法を見てみましょう。

(※Daijob.comは、外資系・グローバル企業の求人サイトです。NINJAは当社グローバルパワーが運営する外国人求職者向けの就職・転職情報サイトです。)

現在、外国人の人材紹介会社A社と取引をしているが、もう何社か紹介会社との取引を増やしたいと思った場合、どの会社と取引をするのが良いでしょうか。 上記の選択肢であれば、D社とGLOBALPOWERと取引をすると、ダブりがなくこれまでとは違った外国人材のデータベースで求職者にアプローチがでそうです。人材会社はそれぞれ「大学との連携が強い」「自社メディアの集客が強い」など集客に特徴がありますので、すでに取引がある人材企業の弱い部分を補完するような視点で、人材会社を選定すると良いでしょう。

余談ですが、上記の例で言うと、A社とB社はリクルート系の媒体をつかって求職者を集客していますが、「3.エージェントの質と相性」でご紹介したように、同じ集客方法でもエージェントのセンス・力量によって求職者をひきつける力、口説ける力に差がでます。A社のエージェントとの相性がわるいと感じたら、B社のエージェントともコンタクトをとってみるのも良いかもしれません。

6.まとめ 外国人の人材紹介会社・人材派遣会社 選び方コツと注意点

外国人の人材紹介会社、人材派遣会社の選び方のコツや注意点をまとめましたが、いかがでしたでしょうか。これは外国人の人材サービスにかぎらず、日本人の人材会社の選定にも応用できる内容です。

・人材紹介会社、人材派遣会社の許認可はあるか確認、コンプライアンスは徹底されているか。
・自社で採用したい職種や業界に強い人材会社を選定する
・人材エージェント(営業・コンサルタント)の質と相性を重視する
・組織体制(一気通貫型か分業型か)と多言語対応・フォロー体制をみる
・求職者の集客方法を確認する。複数社の人材会社と取引する場合は、集客方法にダブりがない会社を選定。

記事の中でさりげなく、当社グローバルパワーのPRを盛り込んでしまいましたが(笑)、貴社の人材会社の選定のお役にたてれば嬉しいです。

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社グローバルパワー 取締役 1979年 山口県生まれ。広島県の呉大学(現:広島文化学園大学)社会環境情報学部を卒業。大手人材サービス会社の営業を経て、2010年 外国人派遣・紹介サービスの(株)グローバルパワーに入社、2012年 取締役に就任。2017年 外国人雇用とマネジメントのすべてがわかるWEBサイト「グローバルパワーユニバーシテイ」編集長。