外国人留学生の就職拡大 規制緩和 徹底解説!~特定活動 2019年5月下旬告示予定~

2019年5月に、外国人留学生の就職先を拡大すべく新制度の導入が検討されていることをご存知ですか。2019年4月に「特定技能」の入管法改正で、一部の単純労働における外国人雇用が解禁となりましたが、外国人留学生の就職先の業務領域の拡大においてはあまりニュースになっていません。

この新制度が施行されると、日本企業にとって雇用の選択肢が拡大するとともに、次世代を担う幹部候補・後継者候補の採用戦略としても有効です。「特定技能で対象の14業種に入らなかった!」と悔しい思いをされている経営者・人事の方は必見です!

さっそく新制度について、わかりやすく徹底解説していきたいと思います。

1.規制緩和・新「特定活動」とは? 外国人留学生の就職先拡大

これまでは、外国人留学生が日本企業に就職しようと思った場合、外国人ならではの感性や語学力を活かすような業務、または技術力を活かすような仕事でしか在留資格(就労ビザ)の許可がおりず、労使の合意と強い希望があったとしても就職をすることができませんでした。

しかし、今回の新制度では「日本の大学・大学院を卒業」「高い日本語能力を保有」「日本人と同等以上の報酬額で雇用される」「大学で学んだことを活かせる仕事につく予定」の外国人留学生であれば、これまで、就職がみとめられなかった、製造業等の現場勤務や飲食店、スーパー、コンビニエンスストアなどのサービス業の現場での就職が可能になります。

また、労働力不足を補うための「特定技能」と異なり、雇用が成立し、在留資格の更新手続きをする限り、上限なく日本で働き続ける事が可能な為、将来の幹部や後継者としての育成も期待できます。

この、新しい「特定活動」は、出入国在留管理庁(旧:法務省 入国管理局)の参事官室によると、「2019年5月下旬には公布予定」という事でした。(2019年5月7日 株式会社グローバルパワーにて確認)

「特定活動」という在留資格は、ワーキングホリデー、インターンシップ、EPA、医療滞在、日系人4世など、活動内容が43種類あります(2019年4月現在)。今回は、44種類目の「44号 特定活動」として追加される予定です。

法務省が出している趣旨・概要は下記になります。(次項で、わかりやすく解説します)

PDFで上記資料をダウンロードしたい方はこちら→ 特定活動 留学生の就職先拡大について(法務省)

2.特定活動の在留資格がおりる条件は?くわしい解説

外国人留学生が、新制度の特定活動で在留資格の許可がおりる条件は何でしょうか?

現段階で、公表されている内容での情報になりますが、許可条件は下記となります。(※下記は、現段階での情報にもとづくもので変更になる可能性があります)

①フルタイム(常勤)での雇用であること

非常勤やパートタイムのような雇用ではなく、フルタイム(常勤)の雇用である必要があります。いわゆる、正社員・契約社員・派遣社員などが対象になります。

②日本の大学、日本の大学院を卒業・修了し学位を授与されていること

日本の大学を卒業、または日本の大学院を修了し学位を保有すること条件です。日本の大学でも中退、学位はあるが海外大学を卒業したのみ、日本の短期大学、日本の専門学校卒業の外国人は対象になりません。

日本の大学、大学院の学位をもたない外国人を雇用したい場合は、これまでどおり、語学力や技術力を活かす在留資格「技術・人文知識・国際業務」もしくは、2019年4月に新設された「特定技能」の在留資格に変更していくことを考えた方が良いでしょう。

③配属先の仕事内容が、日本の大学・大学院で学んだ知識や能力を活かせる内容であること

「大学で学んだ知識や能力を活かせる」という要件がある為、従事する仕事内容が、日本語等でのコミュニケーションを必要とする仕事や、ある程度の知的労働が含まれている必要がありそうです。

コミュニケーションが全く必要ない仕事やアルバイトの学生さんでもできるような業務など「大半が単純労働」という仕事内容だと、許可が難しいであろうと予測されます。

④高い日本語能力があること

「高い日本語能力」とは、ビジネスシーンにおいて、日本語でコミュニケーションが問題なくとれる「ビジネスレベル」で、目安としては、日本語能力試験(JLPT) N1レベル相当となります。

法務省が出している資料では「N1等」という記載がありますので、必ずしもN1を取得しておく必要はなさそうですが、高い日本語能力があることを示すような試験結果や実績などが必要です。

日本企業のオフィスで働く外国人ビジネスパーソンは、中国・台湾・香港・韓国などの漢字圏の出身者の場合、日本語能力試験(JLPT)N1の取得率は高く、欧米出身や東南アジア出身など、非漢字圏の出身者は日本語能力試験N2の取得のみが大半です。N2であっても日本語でのコミュニケーションは問題なく、日本企業で日本人と同等に仕事をこなし活躍されています。(日本語能力試験や外国人日本語レベルに関する詳しい記事は、日本語能力試験で「会話力」は測れない!「日本語レベル≠仕事の能力」をご覧ください。)

出入国在留管理庁が、在留資格(ビザ)審査の際に、参考としている日本語能力試験は下記の9つの試験です。

日本語能力試験(JLPT)
BJTビジネス日本語能力テスト
J.TEST実用日本語検定(ビジネス)
日本語NAT-TEST
標準ビジネス日本語テスト
TOPJ実用日本語運 用能力試験
J-cert生活・職能日本語検定
JLCT外国人日本語能力検定
実践日本語コミュニケーション検定・ブリッジ(PJC Bridge)
JPT日本語能力試験

最も、受験者数が多く圧倒的な知名度を誇り、日本企業の採用基準目安として活用されている試験が、日本語能力試験(JLPT)です。雇用を検討している外国人が受験していない場合は、早めに受験をするように促進すると良いでしょう。

3.特定技能、技能実習、技術・人文知識・国際業務との違いは?

では、2019年4月に新設された「特定技能」と、これまでの在留資格「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格との違いは何でしょうか。

下記の表をご覧ください。2019年5月下旬に告示予定の新しい在留資格「特定活動」は下記の赤枠となります。(※下記は、現段階での情報にもとづくもので変更になる可能性があります)

【参考資料】
技能実習生の対象職種
特定技能の概要と対象14業種
技術・人文知識・国際業務とは?

上記の表にあるように、2019年4月に新設された「特定技能」については、単純労働の領域で14業種に絞られているのに対し、今回の「特定活動」については、特に業種・職種の指定がありません。

したがって、人手不足であるスーパーやコンビニエンスストアなどの接客販売業、運輸・倉庫業、製造業等において、日本人の雇用と同じように「外国人雇用のチャンスがある」、という事です。

学生時代にアルバイトとして活躍してくれた、外国人留学生をそのまま正社員として雇用することが可能です。

慢性的な労働力不足にもかかわらず、特定技能14業種の対象にならず悔しい思いをされた、業種・職種の企業にとって、この特定活動による外国人留学生の就職拡大の規制緩和は朗報ですね!

4.特定活動での外国人雇用のメリットは?

「特定活動」での外国人留学生や外国人社会人の雇用のメリットは下記です。

①日本の文化や商習慣、日本式コミュニケーション方法を理解している

特定活動の在留資格の許可要件に「日本の大学を卒業、または日本の大学院を修了」とありますので、「少なくとも日本国内で4年以上は在留し生活をしている」という事になります。外国人留学生の大半が、大学進学の前に日本語学校にも2年間通っていますので、平均して6年は在留していると想定されます。4年以上、日本で生活をしていれば、日本の文化を理解し日本式コミュニケーショとンも上手にできるようになっているでしょう。また、日本企業でアルバイトなどをしていれば、日本の商習慣もある程度理解している可能性が高いと思って良いでしょう。

②通常どおりの採用活動と雇用管理で良い。特別な事はしなくても良い。

「特定活動」での採用・雇用を検討する場合は、通常どおりの採用活動・雇用管理で問題ありません。日本人を採用する際に利用する、求人媒体やハローワーク、人材派遣・人材紹介会社などを通じて人材を確保することが可能です。また、雇用後も、登録支援機関や監理団体などの支援を受ける必要はありません。

単純労働領域である「特定技能」については、受け入れに伴い、「支援計画の立案と実施(事前ガイダンス、入出国の送迎、住居確保や生活に必要な契約の支援、生活オリエンテーション、公的手続き同行、日本語学習の機会提供、苦情相談対応)」が必要です。(登録支援機関への一部委託も可能) 毎月、従業員の給料明細等を定期報告するなどの労務コストがかかり、実際は日本人の雇用以上に管理コストがかかると言われています。その点、「特定活動」は、通常の人事オペレーションで、追加コストは発生せずに雇用管理できるところが魅力です。

③次世代を担う、幹部候補・後継者候補としての育成対象となる

「特定活動」は、雇用が維持される限り在留資格の更新が可能です。技能実習や特定技能1号のように、在留期限に上限があり帰国をする必要がありません。したがって、いずれ帰国をしてしまうという、いち労働力としての雇用ではなく、企業の次世代をになう幹部候補・後継者候補として育成する人材の対象としての雇用が可能です。

5.まとめ 外国人雇用機会の拡大、徹底解説「特定活動」

「特定活動」の新設により、どの業種・職種においても、外国人の雇用チャンスが生まれる事について、ご理解いただけましたでしょうか。

・2019年5月下旬告示予定の、在留資格「特定活動」で外国人留学生の就職が拡大する
・在留資格の許可要件は、「日本の大学・大学院を卒業」「高い日本語能力」「日本人と同等以上の報酬額で雇用」「大学で学んだことを活かせる仕事につく」こと。
・「特定技能」の14業種の対象外となった業種・職種は外国人雇用のチャンス
・特定活動は通常の採用・雇用オペレーションで受け入れ可能
・在留資格が更新できるため、日本人と同様に幹部候補としての育成が可能

ぜひ、この機会に外国人雇用の拡大を検討してみてはいいかがでしょうか?

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ABOUTこの記事をかいた人

利重直子

株式会社グローバルパワー 取締役 1979年 山口県生まれ。広島県の呉大学(現:広島文化学園大学)社会環境情報学部を卒業。大手人材サービス会社の営業を経て、2010年 外国人派遣・紹介サービスの(株)グローバルパワーに入社、2012年 取締役に就任。2017年 外国人雇用とマネジメントのすべてがわかるWEBサイト「グローバルパワーユニバーシテイ」編集長。