参考資料: ▶令和3年10月15日 出入国在留管理庁 令和3年6月末現在における在留外国人数について
■目次
日本に住んでいる外国人の数は282万人で人口の約2%、コロナの影響で約6万人減
2021年6月末の出入国在留管理庁の発表によると、日本に住んでいる外国人材は、282万3,565人で日本の総人口の約2%を占めます。2020年の新型コロナウイルス感染症拡大予防措置で、新規入国が閉鎖された影響で、2020年末に比べ6万3551人(2.2%)減少となりました。
1-1.外国人の出身地は?エリア・地域別ランキング
日本に住む外国人の出身エリアと国籍は下記です。(2020年6月末・在留外国人統計より)アジア出身者が全体の84%を占め、最も多い国籍ランキングの1位が中国、2位が韓国、3位がベトナムとなります。今回の発表で、これまで米国が台湾を抜いて8位となりました。現在、無国籍を含む197ヶ国の外国人が日本に住んでおり、そのうちの約3割が中国(台湾含む)国籍となり、これは不動の1位です。
1-2.外国人の居住地は? 地域別・都道府県別ランキング
日本に住む外国人の居住地は下記です。外国人の約4割が一都三県に集中して居住しています。反対に、外国人居住者がもっとも少ないワースト1の都道府県は秋田県ですが、それでも居住者は4,366人となり、昨年の2019年6月末時点よりも136名ほど増加しています。もはや、日本において外国人が居住していない都道府県はありません。
1-3.外国人は日本で何をしている? 在留資格別ランキング、「学ぶ」は減少、「働く」は微減
日本に住む外国人の多くは「働く」「学ぶ」といった活動が中心です。日本に住んでいる外国人は、日本でどのような活動をするかによって「在留資格」を申請・許可を得て活動をしていますが、その在留資格別のランキングが下記です。
2019年までの動向としては、「働く」「学ぶ」ために来日する外国人は毎年増加をしていますが、2020年・2021年は新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的をした入国制限により減少をしました。
特に「学ぶ」目的で入国をする外国人留学生の数が前年末対比で18%減少をしました。日本で学ぶ外国人留学生は、政府の『留学生30万人計画』のもと順調に伸長し、2018年12月末時点で33万7,000人を記録、前倒して30万人計画の目標を達成しましたが、残念ながら2020年・2021年は30万人を下回る結果となりました。
外国人留学生の減少は、今後、どのような影響があるのでしょうか?
1点目は、外国人留学生アルバイトが労働力の中心となっている飲食業や小売業、製造現場でのアルバイトの採用難、2点目は、2年後・4年後に新卒採用の選考対象で外国人留学生が減少する点です。近年、海外ビジネス担当としての採用は勿論、組織のダイバーシティ推進としても外国人留学生の活用が拡大してきただけに、外国人留学生の減少は大変残念です。
「働く」を目的として入国をする外国人材は、微減となりました。2019年4月に、留学と称して出稼ぎをする「偽装留学生問題」や、技能実習生制度の様々な課題解決を目的として創設された、単純労働に従事する外国人のための在留資格「特定技能」が伸長し、2021年6月時点で、29,144名の在留資格「特定技能」が誕生、2021年は最も対前年で伸長した在留資格となりました。
▶ 在留資格「特定技能」とは(公益財団法人 国際研修協力機構 JITCOホームページ)
日本で働く外国人の数は? 令和2年/2020年10月末時点で172万人、過去最高を更新するも増加率は減
参考資料▶厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ/令和2年10月末
次に働く外国人について掘り下げていきましょう。
日本で働く外国人労働者数は 1,724,328 人で、働き方は、フルタイム・パートタイムなど雇用形態は様々です。2020年10月末の集計によると、新型コロナウイルス感染症の影響があったとはいえ、日本で働く外国人数は過去最高を記録しました。ただし、対前年の増加率は13.6%から9.6ポイントの大幅な減少となりました。
〔オレンジ色のグラフ〕全体の20.8%(359,520人)を占めている「専門的・技術的分野の在留資格」とは、語学力や技術を活用しながら働く外国人が得ている在留資格で、オフィスシーンでみかける外国人や外国料理のシェフなどフルタイムで働いている外国人がこれにあたります。また、経営者や研究者も含まれます。平成31年/2019年4月に創設された、「特定技能」は、この「専門的・技術的分野の在留資格」に含まれます。特定技能は、359,520人うち7,262人が特定技能の在留資格保有者になります。
〔黄色のグラフ〕約23.3%(402,356人)を占める「技能実習生」とは、日本で培った技能・技術・知識を母国にもちかえり技術移転をするという国際貢献を趣旨とし来日している外国人が得ている在留資格です。本来は労働が目的ではありませんが、実態は労働力の需給調整の手段として活用されている印象は否定できず、厚生労働省の調査では「働く外国人」としてカウントされている様です。技能実習生は主に、農林水産業や建築現場、製造業などの現場で活躍しています。
〔ピンク色のグラフ〕約21.5 %が(370,346人)を占める「資格外活動」とは、在留資格が「留学生」や「家族滞在」の方々が、週28時間以内で就労するパート・アルバイト等を指します。飲食店やコンビニエンスストア等でアルバイトをする外国人は資格外活動に該当する方が多いのではないでしょうか。令和2年/2020年は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の目的で、飲食店の営業時間の短縮等の要請の影響で、飲食店を中心とした外国人アルバイトの就労は減少したものと思われます。
〔黄緑色のグラフ〕約31.7%(546,469人)を占める「身分に基づく在留資格」とは、「永住者」「定住者」「日本人配偶者等」「永住者の配偶者等」を指します。この在留資格を得ている外国人は、就労制限がありませんので、フルタイムで働いてる方もいれば、アルバイト・パートで働いている方もいるなど、雇用形態も職種も様々です。日本では、この在留資格をもって働く外国人が最も多い状況です。
〔青色のグラフ〕「特定活動」とは、ワーキングホリデーやEPA(看護師など)等を指します。
「専門的・技術的分野の在留資格」は、前年比で9.3%(30,486人)増加し、「技能実習」については、前年比で4.8%(18,378人)の増加となります。一方で「資格外活動」のうち「留学」は前年比で 3.7%(11,721人)減少しており、「身分に基づく在留資格」のうち「定住者」についても前年比0.7%( 812人)減少しています。
▶在留資格の種類とその解説【2019年11月最新】(当サイト内の記事)
▶10分でわかる!人事部のための外国人ビザ講座~在留資格・ビザとは?必要書類は?手続き方法は?~
2-1.日本で働く外国人の出身地は? 働いている場所は?
日本で働く外国人の国籍別ランキングと勤務している事業所の都道府県は下記です。
国籍別でみると、これまで日本で働く外国人の出身国は「中国」でしたが、2020年/令和2年10月末で、はじめて「ベトナム」が最も多い出身国となりました。首位が、ベトナムで全体の25.7%(443,998人)で前年比10.6%増加、次いで中国が全体の24.3%(419,431人)、次いでフィリピンが全体の10.7%(184,750人)となります。また、ネパールは前年比8.6%(7,858人)増加となっていますが、ブラジル・ペルーは減少しています。
ベトナムでは在留資格「技能実習」が 49.2%、次いで「資格外活動」のうち「留学」が 28.7%を占めています。中国では「専門的・技術的分野の在留資格」が 29.2%、「身分に基づく在留資格」が 28.4%、「資格外活動」のうち「留学」が 19.0%、「技能実習」が 18.3%となっています。
フィリピンでは「身分に基づく在留資格」の割合が 70.0%を占めており、その内訳をみると「永住者」がフィリピン全体の 41.4%となっています。ブラジルでは「身分に基づく在留資格」の割合が 98.9%を占めており、その
内訳をみると「永住者」がブラジル全体の 48.1%、インドネシアでは「技能実習」が 62.3%を占めており、ネパールでは「資格外活動」のうち「留学」が 44.3%を占めています。
G7/8等4及び韓国では「専門的・技術的分野の在留資格」がそれぞれ56.9%、44.6%を占めています。
外国人労働者の就労地域を都道府県別の割合をみると、東京が 28.8%、愛知が 10.2%、大阪が 6.8%の順となっています。また、都道府県別に外国人労働者数の増加率をみると、福井が前年比で 13.3%増加、群馬が同 13.1%増加、大阪が同 11.6%増加の順となっています。一方で、石川、長野、岐阜、三重、滋賀などでは、前年比で減少しています。
2-2.どんな業界で働いている?産業別労働者数・業界別・事業規模別ランキング
次に、日本で働く外国人が活躍している業界について解説をします。
産業別の割合をみると、最も外国人労働者が活躍する業界が「製造業」で全体の28.0%(482,002人)を占め、外国人を雇用する事業所全体の19・3%を占めます。次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が 16.1%(276,951人)、「卸売業、小売業」が 13.5%(232,014人)となっています。
また、外国人労働者数の対前年増加率をみると、「宿泊業、飲食サービス業」が-1.8%(前年比13.4 ポイント減)、「製造業」が-0.3%(前年比11.6 ポイント減)、「サービス業(他に分類されないもの)」が 3.9%(前年比11.7 ポイント減)、「卸売業、小売業」が 9.2%(前年比5.0 ポイント減)と、産業ごとに異なるもののいずれも前年と比較して低下しており、新型コロナウイルス感染症の影響が見られます。反対に、外国人労働者数・事業所数ともに増加した業種が「建設業」「医療・福祉」です。
外国人労働者を雇用する事業所規模別の割合をみると、「30人未満」規模の事業所が最も多く、事業所数全体の35.8%を占めています。事業所数はどの規模においても増加しており、特に「30人未満」規模の事業所では前年同期比で 5.2%増と、最も大きな増加率となっています。
▶「外国人雇用状況」の届出状況まとめ 令和2年(2020年)10月末(厚生労働省ホームページ)
▶なぜ、日本に住む外国人が増えたのか?その理由と背景 ~政策による意図的な増加と自然発生的な増加~
▶働く外国人が増えた理由は?~企業が外国人を雇用する4つの理由~
日本で働く外国人、今後の動向は?まとめ
2020年・2021年は新型コロナウイルス感染症の拡大で、日本に住む外国人数は減少しましたが、中長期的にみると少子高齢化の日本において、日本で働く外国人はこれからも増加傾向と言えるでしょう。少子高齢社会である日本は、労働力不足・グローバル化・生産性向上という課題に直面しており、外国人材をはじめとする多様性ある人材の活用が欠かせません。
多様性ある人材が活用できる組織づくりは一日にして成らず、です。いまからトライ&エラーでしっかり組織としての経験値をつんでおくことをオススメ致します。