ワーキングホリデー外国人の雇用、仕事内容と注意点、正社員採用切り替えの方法~在留資格:特定活動(ワーキングホリデー)から就労系在留資格へ~

■目次

  1. ワーキングホリデーとは?協定国は26の国と地域
  2. ワーキングホリデーの発給要件は?18歳以上30歳以下、最長1年
    ワーキングホリデービザ(査証)の発給要件
  3. ワーキングホリデーで来日した外国人の人数・推移は?1万人前後
  4. 日本でのワーキングホリデー、どんな仕事ができる?雇用形態は?
    就労できない仕事は?水商売やパチンコ店などの風俗営業等
    就労できる仕事は?風俗営業以外、単純労働OK、週40時間OK、雇用形態も制限なし
  5. ワーキングホリデー人材を雇用する際の注意点は?
    ①在留カード、パスポート(旅券)の指定書を現物で確認、有効確認
    ②非居住者 源泉徴収税率 20.42% 日本人や就労外国人とは違います。
    ③在留期限を超える雇用の場合は在留資格変更を
  6. ワーキングホリデー人材を正社員に、就労できる在留資格に変更する方法
    ①【オーストラリア、NZ、カナダ、ドイツ、韓国】日本滞在のまま在留資格の変更手続きをする
    ②【①の対象国以外】一時帰国、在留資格認定証の交付申請にて招聘 
  7. おすすめ!ワーキングホリデー人材を採用ターゲットに

ワーキングホリデーとは?協定国は26の国と地域

ワーキング・ホリデー制度とは、2つの国や地域との間の取決め等に基づき、それぞれが相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国と滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための就労を認める制度です。それぞれの国・地域が、その文化や一般的な生活様式を理解する機会を相手国・地域の青少年に対して提供し、2つの国や地域間で相互理解を深めることを趣旨としています。

日本では、昭和55年(1980年)にオーストラリアとの間でワーキング・ホリデー制度を開始したのを皮切りに、2021年4月時点で、26の国・地域との間で同制度を導入しています。

国・地域名 制度開始年 年間発給枠
1 オーストラリア 1980
2 ニュージーランド 1985
3 カナダ 1986 6,500
4 韓国 1999 10,000
5 フランス 2000(注) 1,500
6 ドイツ 2000
7 英国 2001 1,000
8 アイルランド 2007 800
9 デンマーク 2007
10 台湾 2009 10,000
11 香港 2010 1,500
12 ノルウェー 2013
13 ポルトガル 2015
14 ポーランド 2015 500
15 スロバキア 2016 400
16 オーストリア 2016 200
17 ハンガリー 2017 200
18 スペイン 2017 500
19 アルゼンチン 2017 日から亜:200
亜から日:400
20 チリ 2018 200
21 アイスランド 2018 30
22 チェコ 2018 400
23 リトアニア 2019 100
24 スウェーデン 2020
25 エストニア 2020 日からエストニア:無
エストニアから日:100
26 オランダ 2020 200

ワーキング・ホリデー制度(外務省ホームページ)

ワーキングホリデーの発給要件は?18歳以上30歳以下、最長1年

ワーキングホリデー制度は、次の要件を満たす場合に利用できます。

ワーキングホリデービザ(査証)の発給要件

  • ワーキングホリデー協定国の相手国・地域に居住する国民・住民であること。
  • 一定期間相手国・地域において、休暇を過ごすことを主として滞在をすること。(最長1年)
  • 査証申請時の年齢が18歳以上30歳以下であること
    オーストラリア・カナダ・韓国:18歳以上25歳以下
    アイスランドとの間では18歳以上26歳以下
    各々の政府当局が認める場合は30歳以下まで申請可
  • 子供や、家族を同伴しないこと。
  • 有効な旅券と帰りの切符(又は切符購入の資金)を所持していること。
  • 滞在の当初の期間に生計を維持するために必要な資金を所持すること。
  • 健康であること。
  • 以前にワーキング・ホリデー査証を発給されたことがないこと。

国・地域によって要件に多少の違いがあります。詳細は、大使館に確認して下さい。
▶日本人の方:
協定国の国・地域の駐日外国公館等(台湾については台北駐日経済文化代表処等)へお問合せください。
▶日本にワーキングホリデーを希望する外国籍の方:
日本国大使館等(台湾については公益財団法人交流協会)へお問合せください。

ワーキングホリデーで来日した外国人の人数・推移は?1万人前後

ワーキングホリデーで来日した外国人材は、年間1万人前後です。2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、3年ぶりに1万人を切りました。

2016年6月 2017年6月 2018年6月 2019年6月 2020年6月
香港 211 488 540 523 475
台湾 3,726 3,704 3,758 3,703 2,857
韓国 2,538 2,907 4,051 4,844 2,185
オーストリア 9 12 31 36
チェコ 21 50
デンマーク 42 34 60 73 87
フランス 868 927 1,059 1,115 947
ドイツ 409 465 507 594 455
ハンガリー 30 54 41
アイスランド 1 2
アイルランド 31 31 38 43 47
リトアニア 4 16
ノルウェー 28 26 33 31 37
ポーランド 60 70 100 94 85
ポルトガル 10 10 19 17 18
スペイン 171 217 228
英国 461 486 505 532 484
スロバキア 14 27 26 42
カナダ 238 289 259 298 197
アルゼンチン 84 148 167
チリ 39 156 148
オーストラリア 662 686 741 846 842
ニュージーランド 122 127 151 143 124
総数 9,406 10,273 12,184 13,514 9,570

日本でのワーキングホリデー、どんな仕事ができる?雇用形態は?

日本にワーキングホリデーで来日した外国人材は、在留資格は特定活動(ワーキングホリデー)という在留資格をもち、滞在をします。

就労できない仕事は?水商売やパチンコ店などの風俗営業等

仕事の内容は、水商売やパチンコ店での勤務など風俗営業等に該当する仕事に従事することはできません。これら業種への従事は、退去強制事由に該当しますので、雇う側も注意が必要です。また、仲介をする人材派遣・人材紹介会社等も、不法就労助長罪、人身売買罪等に問われることもありますので注意しましょう。

就労できる仕事は?風俗営業等以外、単純労働OK、週40時間OK、雇用形態も制限なし

風俗営業等の対象となる仕事以外であれば、単純労働、接客、オフィスワークなど何でも従事することができます。就労時間も留学生などの資格外活動許可と違い、週40時間の勤務ができるなど、日本人と同様に勤務することが可能です。

また、雇用形態も、アルバイト・パート、派遣社員、契約社員、正社員などの指定はありません。どういった雇用形態でも雇用が可能です。

ワーキングホリデー人材を雇用する際の注意点は?

ワーキングホリデー人材を雇用する際の注意点は下記です。

①在留カード、パスポート(旅券)の指定書を現物で確認、有効確認

  • ワーキングホリデーで来日している外国人の在留カードに「特定活動」と記載があります。
  • パスポート(旅券)に「指定書」というものが貼り付けてあり、そこに「ワーキングホリデー」の旨が記載してあります。
  • 在留カード、パスポートは現物を確認しましょう。
  • 在留カードが有効かを「在留カード等番号失効情報照会」で確認をしましょう。

▶在留カードが有効かどうかを調べる方法(在留カード番号を入力)
出入国在留管理庁 在留カード等番号失効情報照会(出入国在留管理庁ホームページ)

②非居住者 源泉徴収税率 20.42% 日本人や就労外国人とは違います。

ワーキングホリデーで来日している外国人は「非居住者」という扱いになり、源泉徴収の税率は「人的役務の提供事業の対価・・・・20.42%」となります。

日本での居住者である、日本人の従業員や、留学生アルバイト・就労で来日している外国人従業員の源泉徴収とは、税率が違いますので、給料計算の際には注意をしましょう。

長期的に雇用することが決まっているワーキングホリデー人材については、本人の税率の負担も大きいため、早めに対象となる在留資格に変更手続きをしてあげると良いでしょう。

▶非居住者とは?(ワーキングホリデーの外国人)
No.2875 居住者と非居住者の区分(国税庁ホームページ)

▶非居住者(ワーキングホリデーの外国人)の所得税率
No.2884 源泉徴収義務者・源泉徴収の税率(国税庁ホームページ)

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③在留期限を超える雇用の場合は在留資格変更を

ワーキングホリデーで来日している外国人材は、最長で1年の滞在が認められています。そのため、ワーキングホリデーの在留期限をこえて雇用することが決まっている場合は、期限が切れる3か月前には、在留資格変更の手続きをはじめましょう。

ただし、ワーキングホリデー中に従事している仕事内容で、そのまま在留資格変更ができるとは限りませんのでご注意ください。

ワーキングホリデー人材を正社員に、就労できる在留資格に変更する方法 国別

ワーキングホリデーの人材を、正規雇用をする際の手続きは下記です。在留資格 特定活動(ワーキングホリデー)を就労可能な在留資格に手続きをする方法です。国・地域によって手続きが違いますのでご注意ください。

【在留資格の変更例】
・特定活動(ワーキングホリデー)→  技術・人文知識・国際業務
・特定活動(ワーキングホリデー)→  教育
・特定活動(ワーキングホリデー)→  特定活動(46号:本邦大卒者等) など

①【オーストラリア、NZ、カナダ、ドイツ、韓国】 日本滞在のまま在留資格の変更手続きをする

日本に滞在したまま、在留資格変更の手続きができる国・地域は下記です。
【対象国】オーストラリア・ニュージーランド・カナダ・ドイツ・韓国

上記の国出身のワーキングホリデー人材の場合は、在留期限がきれる3か月前から、在留資格変更手続きを行いましょう。ただ、急にルール変更となり一時帰国が必要になるケースも過去にありましたので、手続きをすすめる前に、大使館や出入国管理庁に確認しましょう。

▼10分でわかる!人事部のための外国人ビザ講座▼
~在留資格・ビザとは?必要書類は?手続き方法は?~

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②【①の対象国以外】 一時帰国、在留資格認定証の交付申請にて招聘

ワーキングホリデーの在留資格を変更する際に、一時帰国が必要な国・地域は下記です。
【対象国】香港、オーストリア、アイスランド、英国、ノルウェー、ハンガリー、チェコ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、リトアニア、デンマーク、ポーランド、アルゼンチン、フランス、台湾、スロバキア、スウェーデン、チリ、エストニア、オランダ

上記の国・地域出身のワーキングホリデー人材の場合は、在留資格変更の際は一時帰国が必要です。帰国後に、雇用企業が出入国管理庁にて「在留資格認定証明書」を交付してもらい、外国人本人は現地の大使館でビザ(査証)を申請して再入国をします。

▼在留資格認定証明書の交付、海外招へいの流れ(5-2)▼

10分でわかる!人事部のための外国人ビザ講座~在留資格・ビザとは?必要書類は?手続き方法は?~

▶就労・長期滞在査証(ビザ)手続きチャート(外務省のホームページ)
▶在留資格認定証明書交付申請(法務省ホームページ)

おすすめ!ワーキングホリデー人材を採用ターゲットに

これまで、ご紹介したように、日本にワーキングホリデーで来日した外国人材は、就労制限(仕事内容の制限)がほぼなく、日本人と同じよう週40時間の勤務が可能なため、比較的自由度が高い在留資格です。

外国人材の採用を検討されている企業においては、ワーキングホリデーで滞在中の外国人材を、アルバイト・パート等でお試し雇用し、ワーキングホリデー中は、日本語の習得・企業文化理解・仕事の習得をする期間としてあてて頂き、お互いにマッチするようであれば、正社員採用につなげるという方法も可能です。

新型コロナウイルス感染症の影響で、来日人数こそ減っているものの、協定国は増えており、中長期的にみると増加傾向にあると言えるでしょう。

ぜひ、ワーキングホリデー人材を採用対象者・母集団形成の対象として検討してみてはいかがですか?採用活動の参考になれば幸いです。

なお、この記事を作成している(株)グローバルパワーでは、高度外国人材の紹介や派遣サービスを行っております。ワーキングホリデーで来日した人材も多く登録がございます。ぜひお気軽にご相談ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社グローバルパワー 取締役 1979年 山口県生まれ。広島県の呉大学(現:広島文化学園大学)社会環境情報学部を卒業。大手人材サービス会社の営業を経て、2010年 外国人派遣・紹介サービスの(株)グローバルパワーに入社、2012年 取締役に就任。2017年 外国人雇用とマネジメントのすべてがわかるWEBサイト「グローバルパワーユニバーシテイ」編集長。