▼2021年6月の最新情報は下記です▼
2020年6月末時点での、外国人登録者数が入国管理庁のホームページで公開されましたので、毎年恒例の「日本に住んでいる外国人まるごと解説2020年版」をご紹介したいと思います。(出典:【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】2020年6末(入管庁ホームページ))また、日本で働く外国人については、令和2年/2020年10月末時点での情報が公開されましたので、その情報をもとにご紹介いたします。(「外国雇用状況」の届出状況まとめ(2020年/令和2年10月末))
■目次
日本に住んでいる外国人の数は?総人口の約2%
出入国在留管理庁によると、2020年6月末の在留外国人数は288万5,904人となりました。2013年以降、外国人登録者数は年々増加しており、毎年、過去最高値を記録しておりましたが、2020年2月頃~拡大した新型コロナウイルス感染症の影響で減少に転じました。
2020年(令和2年)3月1日時点での日本の総人口は、1億2,595万人(概算値)になりますので、日本の人口の約2%が外国籍人材となります。
1-1.外国人の出身地は?エリア・地域別ランキング
日本に住む外国人の出身エリアと国籍は下記です。(2020年6月末・在留外国人統計より)アジア出身者が全体の84%を占め、最も多い国籍ランキングの1位が中国、2位が韓国、3位がベトナムとなります。
現在、無国籍を含む197ヶ国の外国人が日本に住んでおり、そのうちの約3割が中国(台湾含む)国籍となり、これは不動の1位です。
1-2.外国人の居住地は? 地域別・都道府県別ランキング
日本に住む外国人の居住地は下記です。(2020年6月末・在留外国人統計より)
外国人の約4割が一都三県に集中して居住しています。反対に、外国人居住者がもっとも少ないワースト1の都道府県は秋田県ですが、それでも4,366人となり、昨年の2019年6月末時点よりも136名ほど社会増となります。もはや、日本において外国人が住んでいない都道府県はありません。
1-3.外国人は日本で何をしている? 在留資格別ランキング
日本に住んでいる外国人は、日本でどのような活動をするかによって「在留資格」を申請・許可を得て活動をしていますが、その在留資格別のランキングが下記です。
日本に住む外国人の多くは「働く」「学ぶ」活動が中心です。ここ数年の動向としては、「働く」「学ぶ」外国人は毎年増加をしていますが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で減少しました。日本で学ぶ外国人留学生は、政府の『留学生30万人計画』のもと順調に伸長し、2018年12月末時点で33万7,000人を記録、前倒して30万人計画の目標を達成しましたが、残念ながら2020年は30万人を下回る結果となりました。
また、2019年4月に、留学と称して出稼ぎをする「偽装留学生」や、技能実習生制度の様々な問題を解決するため、単純労働に従事する外国人のための在留資格「特定技能」が創設されました。しかし、受け入れ企業に負担がかかる制度設計の課題もあり、2020年6月時点で、5,950名という結果になりました。
▶【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】2020年6末(入管庁ホームページ)
▶ 在留資格「特定技能」とは(公益財団法人 国際研修協力機構 JITCOホームページ)
日本で働く外国人の数は? 令和2年/2020年10月末時点で172万人、過去最高を更新するも増加率は減
次に働く外国人について解説します。(厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ/令和2年10月末現在より)
日本で働く外国人労働者数は 1,724,328 人で、働き方は、フルタイム・パートタイムなど雇用形態は様々です。2020年10月末の集計によると、新型コロナウイルス感染症の影響があったとはいえ、日本で働く外国人数は過去最高を記録しました。ただし、対前年の増加率は13.6%から9.6ポイントの大幅な減少となりました。
〔オレンジ色のグラフ〕全体の20.8%(359,520人)を占めている「専門的・技術的分野の在留資格」とは、語学力や技術を活用しながら働く外国人が得ている在留資格で、オフィスシーンでみかける外国人や外国料理のシェフなどフルタイムで働いている外国人がこれにあたります。また、経営者や研究者も含まれます。平成31年/2019年4月に創設された、「特定技能」は、この「専門的・技術的分野の在留資格」に含まれます。特定技能は、359,520人うち7,262人が特定技能の在留資格保有者になります。
〔黄色のグラフ〕約23.3%(402,356人)を占める「技能実習生」とは、日本で培った技能・技術・知識を母国にもちかえり技術移転をするという国際貢献を趣旨とし来日している外国人が得ている在留資格です。本来は労働が目的ではありませんが、実態は労働力の需給調整の手段として活用されている印象は否定できず、厚生労働省の調査では「働く外国人」としてカウントされている様です。技能実習生は主に、農林水産業や建築現場、製造業などの現場で活躍しています。
〔ピンク色のグラフ〕約21.5 %が(370,346人)を占める「資格外活動」とは、在留資格が「留学生」や「家族滞在」の方々が、週28時間以内で就労するパート・アルバイト等を指します。飲食店やコンビニエンスストア等でアルバイトをする外国人は資格外活動に該当する方が多いのではないでしょうか。令和2年/2020年は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の目的で、飲食店の営業時間の短縮等の要請の影響で、飲食店を中心とした外国人アルバイトの就労は減少したものと思われます。
〔黄緑色のグラフ〕約31.7%(546,469人)を占める「身分に基づく在留資格」とは、「永住者」「定住者」「日本人配偶者等」「永住者の配偶者等」を指します。この在留資格を得ている外国人は、就労制限がありませんので、フルタイムで働いてる方もいれば、アルバイト・パートで働いている方もいるなど、雇用形態も職種も様々です。日本では、この在留資格をもって働く外国人が最も多い状況です。
〔青色のグラフ〕「特定活動」とは、ワーキングホリデーやEPA(看護師など)等を指します。
「専門的・技術的分野の在留資格」は、前年比で9.3%(30,486人)増加し、「技能実習」については、前年比で4.8%(18,378人)の増加となります。一方で「資格外活動」のうち「留学」は前年比で 3.7%(11,721人)減少しており、「身分に基づく在留資格」のうち「定住者」についても前年比0.7%( 812人)減少しています。
▶在留資格の種類とその解説【2019年11月最新】(当サイト内の記事)
▶10分でわかる!人事部のための外国人ビザ講座~在留資格・ビザとは?必要書類は?手続き方法は?~
2-1.日本で働く外国人の出身地は? 働いている場所は?
日本で働く外国人の国籍別ランキングと勤務している事業所の都道府県は下記です。
国籍別でみると、これまで日本で働く外国人の出身国は「中国」でしたが、2020年/令和2年10月末で、はじめて「ベトナム」が最も多い出身国となりました。首位が、ベトナムで全体の25.7%(443,998人)で前年比10.6%増加、次いで中国が全体の24.3%(419,431人)、次いでフィリピンが全体の10.7%(184,750人)となります。また、ネパールは前年比8.6%(7,858人)増加となっていますが、ブラジル・ペルーは減少しています。
ベトナムでは在留資格「技能実習」が 49.2%、次いで「資格外活動」のうち「留学」が 28.7%を占めています。中国では「専門的・技術的分野の在留資格」が 29.2%、「身分に基づく在留資格」が 28.4%、「資格外活動」のうち「留学」が 19.0%、「技能実習」が 18.3%となっています。
フィリピンでは「身分に基づく在留資格」の割合が 70.0%を占めており、その内訳をみると「永住者」がフィリピン全体の 41.4%となっています。ブラジルでは「身分に基づく在留資格」の割合が 98.9%を占めており、その
内訳をみると「永住者」がブラジル全体の 48.1%、インドネシアでは「技能実習」が 62.3%を占めており、ネパールでは「資格外活動」のうち「留学」が 44.3%を占めています。
G7/8等4及び韓国では「専門的・技術的分野の在留資格」がそれぞれ56.9%、44.6%を占めています。
外国人労働者の就労地域を都道府県別の割合をみると、東京が 28.8%、愛知が 10.2%、大阪が 6.8%の順となっています。また、都道府県別に外国人労働者数の増加率をみると、福井が前年比で 13.3%増加、群馬が同 13.1%増加、大阪が同 11.6%増加の順となっています。一方で、石川、長野、岐阜、三重、滋賀などでは、前年比で減少しています。
2-2.どんな業界で働いている?産業別労働者数・業界別・事業規模別ランキング
次に、日本で働く外国人が活躍している業界について解説をします。
産業別の割合をみると、最も外国人労働者が活躍する業界が「製造業」で全体の28.0%(482,002人)を占め、外国人を雇用する事業所全体の19・3%を占めます。次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が 16.1%(276,951人)、「卸売業、小売業」が 13.5%(232,014人)となっています。
また、外国人労働者数の対前年増加率をみると、「宿泊業、飲食サービス業」が-1.8%(前年比13.4 ポイント減)、「製造業」が-0.3%(前年比11.6 ポイント減)、「サービス業(他に分類されないもの)」が 3.9%(前年比11.7 ポイント減)、「卸売業、小売業」が 9.2%(前年比5.0 ポイント減)と、産業ごとに異なるもののいずれも前年と比較して低下しており、新型コロナウイルス感染症の影響が見られます。反対に、外国人労働者数・事業所数ともに増加した業種が「建設業」「医療・福祉」です。
外国人労働者を雇用する事業所規模別の割合をみると、「30人未満」規模の事業所が最も多く、事業所数全体の35.8%を占めています。事業所数はどの規模においても増加しており、特に「30人未満」規模の事業所では前年同期比で 5.2%増と、最も大きな増加率となっています。
▶「外国人雇用状況」の届出状況まとめ 令和2年(2020年)10月末(厚生労働省ホームページ)
▶なぜ、日本に住む外国人が増えたのか?その理由と背景 ~政策による意図的な増加と自然発生的な増加~
▶働く外国人が増えた理由は?~企業が外国人を雇用する4つの理由~
日本で働く外国人、今後の動向は?まとめ
2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大で、日本に住む外国人数は減少しましたが、中長期的にみると少子高齢化の日本において、日本で働く外国人はこれからも増加傾向と言えるでしょう。
- 日本に住む外国人は288万人(2020年6月)で、日本の人口の約2%
- 197ヶ国の外国人が日本に住んでおり、約8割がアジア出身、1位は中国で約3割
- 外国人の約4割は一都三県に居住
- 在留資格は、永住者が最も多く、次いで技能実習生、留学生は30万人をきる
- 働く外国人は172万人(2020年10月)
- 働く外国人、1位はベトナム(初)、2位は中国、3位はフィリピン、ベトナムが中国を抜き首位に
- 製造業、卸売・小売業、宿泊業などで外国人が活躍、製造業が最も多い
- 30人未満の中小企業で勤務する外国人が35%
少子高齢化が進む日本は、労働力不足・グローバル化・生産性向上という課題に直面しており、外国人材をはじめとする多様性ある人材の活用が欠かせません。
多様性ある人材が活用できる組織づくりは一日にして成らず、です。いまからトライ&エラーでしっかり組織としての経験値をつんでおくことをオススメ致します。