2025年(令和7年)も、厚生労働省から最低賃金が改訂されました。採用・人事担当の方は、ホームページの募集掲載、各求人媒体への掲載内容など、すべての情報修正対応が必要ですのでご注意ください。
■目次
1.最低賃金とは? 最低賃金の最高額は東京で時給1,226円
1-1. 最低賃金とは?国が定める労働者に支払う最低限の賃金額
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。
したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。(最低賃金制度とは? 厚生労働省より)
1-2.最低賃金の最高額は東京都「1,226円」で63円UP、加重平均1,121円、全都道府県千円超え
最低賃金の最高額は、東京都で「1,226円」です。今年は1,163円から1,226円の63円UPとなりました。全国の最低賃金の加重平均は1,121円で、66円UP。「全国加重平均額」は、全国の最低賃金を都道府県ごとの労働者数で重み付けして平均した額となります。令和7年・2025年でついに、全国すべての都道府県において、初めて千円を超えました。
2.地域別の最低賃金は?いつから?地域別一覧
地域別の最低賃金と、発行年月日は下記です。
都道府県名 | 最低賃金時間額(円) | 改定前(円) | 引上げ額(円) | 引上げ率(%) | 発効日 |
---|---|---|---|---|---|
北海道 | 1,075 | 1,010 | 65 | 6.4 | 令和7年10月4日 |
青森 | 1,029 | 953 | 76 | 8.0 | 令和7年11月21日 |
岩手 | 1,031 | 952 | 79 | 8.3 | 令和7年12月1日 |
宮城 | 1,038 | 973 | 65 | 6.7 | 令和7年10月4日 |
秋田 | 1,031 | 951 | 80 | 8.4 | 令和8年3月31日 |
山形 | 1,032 | 955 | 77 | 8.1 | 令和7年12月23日 |
福島 | 1,033 | 955 | 78 | 8.2 | 令和8年1月1日 |
茨城 | 1,074 | 1,005 | 69 | 6.9 | 令和7年10月12日 |
栃木 | 1,068 | 1,004 | 64 | 6.4 | 令和7年10月1日 |
群馬 | 1,063 | 985 | 78 | 7.9 | 令和8年3月1日 |
埼玉 | 1,141 | 1,078 | 63 | 5.8 | 令和7年11月1日 |
千葉 | 1,140 | 1,076 | 64 | 5.9 | 令和7年10月3日 |
東京 | 1,226 | 1,163 | 63 | 5.4 | 令和7年10月3日 |
神奈川 | 1,225 | 1,162 | 63 | 5.4 | 令和7年10月4日 |
新潟 | 1,050 | 985 | 65 | 6.6 | 令和7年10月2日 |
富山 | 1,062 | 998 | 64 | 6.4 | 令和7年10月12日 |
石川 | 1,054 | 984 | 70 | 7.1 | 令和7年10月8日 |
福井 | 1,053 | 984 | 69 | 7.0 | 令和7年10月8日 |
山梨 | 1,052 | 988 | 64 | 6.5 | 令和7年12月1日 |
長野 | 1,061 | 998 | 63 | 6.3 | 令和7年10月3日 |
岐阜 | 1,065 | 1,001 | 64 | 6.4 | 令和7年10月18日 |
静岡 | 1,097 | 1,034 | 63 | 6.1 | 令和7年11月1日 |
愛知 | 1,140 | 1,077 | 63 | 5.8 | 令和7年10月18日 |
三重 | 1,087 | 1,023 | 64 | 6.3 | 令和7年11月21日 |
滋賀 | 1,080 | 1,017 | 63 | 6.2 | 令和7年10月5日 |
京都 | 1,122 | 1,058 | 64 | 6.0 | 令和7年11月21日 |
大阪 | 1,177 | 1,114 | 63 | 5.7 | 令和7年10月16日 |
兵庫 | 1,116 | 1,052 | 64 | 6.1 | 令和7年10月4日 |
奈良 | 1,051 | 986 | 65 | 6.6 | 令和7年11月16日 |
和歌山 | 1,045 | 980 | 65 | 6.6 | 令和7年11月1日 |
鳥取 | 1,030 | 957 | 73 | 7.6 | 令和7年10月4日 |
島根 | 1,033 | 962 | 71 | 7.4 | 令和7年11月17日 |
岡山 | 1,047 | 982 | 65 | 6.6 | 令和7年12月1日 |
広島 | 1,085 | 1,020 | 65 | 6.4 | 令和7年11月1日 |
山口 | 1,043 | 979 | 64 | 6.5 | 令和7年10月16日 |
徳島 | 1,046 | 980 | 66 | 6.7 | 令和8年1月1日 |
香川 | 1,036 | 970 | 66 | 6.8 | 令和7年10月18日 |
愛媛 | 1,033 | 956 | 77 | 8.1 | 令和7年12月1日 |
高知 | 1,023 | 952 | 71 | 7.5 | 令和7年12月1日 |
福岡 | 1,057 | 992 | 65 | 6.6 | 令和7年11月16日 |
佐賀 | 1,030 | 956 | 74 | 7.7 | 令和7年11月21日 |
長崎 | 1,031 | 953 | 78 | 8.2 | 令和7年12月1日 |
熊本 | 1,034 | 952 | 82 | 8.6 | 令和8年1月1日 |
大分 | 1,035 | 954 | 81 | 8.5 | 令和8年1月1日 |
宮崎 | 1,023 | 952 | 71 | 7.5 | 令和7年11月16日 |
鹿児島 | 1,026 | 953 | 73 | 7.7 | 令和7年11月1日 |
沖縄 | 1,023 | 952 | 71 | 7.5 | 令和7年12月1日 |
全国加重平均 | 1,121 | 1,055 | 66 | 6.3 | – |
3.最低賃金の計算方法は?時給設定方法は?(東京勤務の場合)
最低賃金改定にともない、自社で募集している求人の時給が最低賃金以上になっているかどうかを確認してみましょう。
3-1. 時給の場合
設定されている時給が、最低賃金以上であれば問題ありません。
時給 ≧ 最低賃金額
時給設定が最低賃金の1,226円以下の設定になっているのですぐに時給設定を変更する必要があります。
3-2. 日給の場合
日給を1日の労働時間で割り、時給を算出し、その時給が最低賃金以上であれば問題ありません。
日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時給)
15,000円 ÷ 実働8時間 = 1,875円
時給設定が最低賃金の1,163円以上の設定になっているので問題ありません。
尚、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、日給≧最低賃金額(日額) となりますのでご注意ください。日額が決められている特定(産業別)最低賃金表はこちらです。地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合は、高い方の最低賃金額が適用されます。
3-3. 月給の場合
月給を月の労働時間で割り、時給算出し、その時給が賃金以上であれば問題ありません。
月給 ÷ 1ヵ月の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時給)
例:月給20万円・1か月の平均所定労働時間160時間・東京勤務の場合
月給200,000 ÷ 1か月の平均労働時間160時間 = 時給1,250円
時給設定が最低賃金の1,226円以上の設定になっているので、問題はありません。
ただし、月給が下記のようになっている場合は計算に注意が必要です。
営業手当 30,000円
時間外手当 35,000円(最低賃金の対象とならない)
通勤手当 5,000円(最低賃金の対象とならない)
—————————
合計 200,000円
時間外手当(残業代)と通勤手当(交通費)は最低賃金の計算の対象外になりますので、計算はこのようになります。
・合計 200,000 -(時間外手当35,000円+通勤手当5,000円)=160,000円
・160,000円 ÷ 1か月の平均所定労働時間160時間=1000円
時給設定が最低賃金の1,226円以下の設定になってしまうため、賃金設定を改めなくてはなりません。
▼最低賃金セルフチェックシート(厚生労働省)▼
※スプレッドシートからダウンロードをしてご活用ください
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1dnGt7N-cb2IhbtiD9B2Kz_UiIcltTE2R/edit?usp=sharing&ouid=116159501235416373317&rtpof=true&sd=true
4.最低賃金は外国人労働者にも適用されるのか?YES!
「外国人労働者にも最低賃金が適用されるのですか?」と、よくお問い合わせを頂きます。答えは「イエス」、外国人労働者にも適用されます。
外国人であっても、日本国内で就労する限り、労働基準法・労働安全衛生法・最低賃金法などの労働保護法規をはじめ、職業安定法、労働者派遣法、労働組合法などのすべての労働法規が当てはまります。
それが、たとえ違法な就労であっても適用されます。
また、労災等においても同様で、違法な就労であっても休業損害に対する賠償が発生します。国民保険・厚生年金・健康保険などの社会保険も日本人と同様に適用となります。
最低賃金は年々上昇しており、雇用主にとっては負担も大きくなってまいりますが、最低賃金上昇にともなう助成金制度もありますのでうまく活用し、適切な事業運営をして参りましょう。