国際結婚の実態調査~国際結婚は理想の結婚? 離婚率や家事負担は?~

日本語ビジネスレベル以上の外国人材が登録をする、外国人のための就職・転職情報サイトNINJAを運営する 株式会社グローバルパワーにて、「日本における国際結婚の実態」を調査いたしましたので、その調査結果を解説いたします。

今後さらに日本の人口が減少する中、労働力だけでなく、内需や納税の面でも外国人材の力が必要となります。そのためには、就労の目的だけでなく、日本が好きで、日本で暮らすことが幸せだと思える環境を整える必要があると当社は考えています。国際結婚は異文化交流の象徴であり、多文化共生社会づくりの重要な要素の1つです。日本における家庭や地域社会、行政におけるサポート体制の現状や課題の参考にしていただきたく、本調査をリリースいたします。本調査が、より良い未来を築くための一助となれば幸いです。

◆調査方法

NINJA会員の内、アクティブユーザー44,800名に対して、メールでのアンケートを実施。
・調査期間:2024年10月24日~2024年11月10日
・集計対象者:アンケート回答者364名の内、現在日本在住および日本の在留資格保有335名
なお調査対象の外国人材は、日本国籍取得者を含む身分地位に基づく在留資格、技術・人文知識・国際業務、留学、特定活動など約8割が高度外国人材、もしくはその予備軍が中心となります。

◆調査の定義や出典について

※アンケート回答者364名の内、現在日本在住および日本の在留資格保有者335名、内国際結婚歴のある者113名。
※本調査での国際結婚の定義は、国籍関係なく生まれ育った国や地域(同国内同士除く)の異なる者同士が婚姻すること。
※本調査の考察にて、以下の他社調査データの一部を引用しています。
・株式会社リクルートブライダル総研「パートナーシップ調査 2024」報告書
・リンナイ株式会社 NEWSLETTER 熱と暮らし通信 2024年8月30日「家事分担に関する意識調査」
・政府統計の総合窓口 人口動態調査 人口動態統計 確定数 婚姻

国際結婚の数は年々増加!離婚率は低い

日本全体の婚姻数が年々減少しているのに対して、国際結婚の数は2022年度にコロナ禍の影響で一時減少したものの、総じて増加傾向にあります。また離婚率(※1)については、日本全体で27.9%に対して、国際結婚では19.0%と低いことがわかります。[2023年度の国際結婚の相手国(および地域)にて、男性で一番多いのは1位中国、2位米国、3位ブラジル、4位フィリピン。女性では、1位中国、2位フィリピン、3位ブラジル、4位米国]
国際結婚と国内結婚の離婚率比較

国際結婚の出会い、女性はSNSやマッチングアプリでの出会いが最多

国際結婚におけるパートナーとの出会いの場として、「SNSや出会い系マッチングアプリの利用」は、男性が14%に対して女性は31%にものぼります。また、「パーティーや集会」は男性が7%であるのに対し、女性は13%となっており、女性の方が出会いに対してアクティブな姿勢を示していることがうかがえます。一方、男性は「友人・知人の紹介」や「普段の生活の中で」の出会いが女性よりも多く、受動的な出会いの傾向があると言えます。男女とも、「職場や仕事の関係」や「学生時代・留学先」での出会いは、それぞれ2割を超えています。

国際結婚の出会い

外国人のための就職・転職情報サイトNINJAによるアンケート調査

その他、以下の結果が出ています。

・プロポーズはほぼ男性から。女性からはわずか4%。
・10人に4人が結婚式を行っていない。
・国際結婚の障害は、それぞれの国での手続きの複雑さ。親族の反対は少ない。
・男女とも3割以上が出身国および日本での手続きに苦労している

国際結婚後、満足度は、全体の結婚よりもはるかに高い

国際結婚の満足度は、男女ともに一般的な結婚に比べてかなり高い結果となりました。日本人同士の結婚よりも多くの障害があるにもかかわらず、満足度が高い要因として、後述する家事分担などの男女平等な立場であることが挙げられます。

全体数値の出典:株式会社リクルートブライダル総研「パートナーシップ調査2024」報告書より 国際結婚の数値は、NINJAによるアンケート調査より ※それぞれの異なる調査のデータであり、対象者が異なります

国際結婚は、男性が家事に積極的、理想の結婚の形?

下記のデータは、共稼ぎ世帯における国際結婚と一般の結婚の家事分担の割合を示しています。全体的に、国際結婚では男性が家事に積極的に関わる割合が高く、「妻5割・夫5割」の割合が最も多く、27%を占めています。これは一般の結婚の18%と大きな開きがあります。国際結婚において、家事分担の比重は妻側にあるものの、一般の結婚と比較すると、夫の家事への関与はかなり高いことがわかります。

国内全体数値の出典:リンナイ株式会社NEWSLETTER熱と暮らし通信 2024年8月30日「家事分担に関する意識調査」より。国際結婚の数値は、当社によるアンケート調査より。※それぞれ異なる調査のデータであり、対象者が異なります

また、下記のデータは、共稼ぎ世帯における国際結婚とリンナイ株式会社が一般の共稼ぎ世帯に理想とする夫婦の家事分担をアンケートで集計した結果と比較したものです。国際結婚の一般の共稼ぎ世帯が理想とする形態は非常に似ており、国際結婚が夫婦の家事分担においては、理想の結婚であると言えます。

国内全体数値の出典:リンナイ株式会社NEWSLETTER熱と暮らし通信 2024年8月30日「家事分担に関する意識調査」より。国際結婚の数値は、当社によるアンケート調査より。※それぞれ異なる調査のデータであり、対象者が異なります

 

国際結婚はパートナーに対する家事の不満も極端に少ない

夫婦間の家事分担がバランス良く取れていることから、パートナーに対する家事に関する不満は、国際結婚では一般の結婚と比較して各項目で非常に少ない結果となっています。このような結果が、上述の通り、国際結婚自体の満足度を高める要因となっていると言えるでしょう。

国内全体数値の出典:リンナイ株式会社NEWSLETTER熱と暮らし通信 2024年8月30日「家事分担に関する意識調査」より。国際結婚の数値は、当社によるアンケート調査より。※それぞれ異なる調査のデータであり、対象者が異なります。

その他、以下の結果がでています

・国際結婚の家庭での夫婦の立場はイーブン
・国際結婚の家庭収入は、男性が多いがともに支えあっている、「自分が40~60%、パートナーが40~60%」が最多

「国際結婚をしない」理由は?

国際結婚を検討しない理由には、男女間で明確な違いが見られます。男性の45%が「自分と同じ出身国の人が良いから」と回答しており、自国の女性を好む傾向が顕著に表れています。一方、女性は「文化・習慣が違うから」との理由が32%と最も多く、異文化に対する不安が国際結婚の障害となっていることが分かります。

また、「結婚願望自体がないから」や「親族が反対しそうだから」という理由も少数ながら男女共通で挙がっていますが、割合は5%と比較的少なく、文化や出身国の違いが国際結婚における大きな要素であることが浮き彫りとなっています。

※当社によるアンケート調査より

日本の女性は国際的にモテモテ!男性は「検討に値する」にとどまる

以下のデータから、日本人が結婚対象としてどのように評価されているかについて、男女間での認識の差が明確に現れています。特に、男性の49%が「とても魅力的」と日本人女性を高く評価しているのに対し、女性ではその割合が17%にとどまっており、日本人男性への評価はそれほど高くありません。

※当社によるアンケート調査より

一方で、女性の44%が「検討に値する」と回答しているのに対し、男性では26%にとどまっています。このことから、女性は積極的に日本人男性を結婚対象と考えているわけではないものの、一定の関心を持っていることがわかります。

国際結婚の総括~アンケート・フリーワードのコメントから~

① 国際結婚して良かったこと

良かったこととしては、異文化理解や視野の拡大、家族の多様性が多く挙げられました。特に、異なる文化の家族との交流や、パートナーの文化を学べる点が良い経験とされています。

② 国際結婚して悪かったこと

悪かったこととしては、言語の壁や文化の違いから生じる誤解、手続き面での複雑さが多く報告されています。特に、深い話が難しいと感じる場面や、子育てや家族のサポートが不足するケースが見受けられました。

③ 男女による意見の違い

男性の方が文化交流を重視し、女性は日常生活でのコミュニケーションやサポートに関する意見が多い傾向が見られます。良い点では、男女ともに異文化理解にポジティブですが、悪い点では女性の方が子育てや日常生活での負担について言及することが多いです。

④ 出身国による意見の違い

アジア圏出身者は文化や家族の関わりが強調される傾向があり、欧米圏出身者は自己主張の違いや生活習慣に焦点を当てることが多いです。アジア圏では家族支援や伝統行事についての良い意見が多く、悪い点としては、文化の違いによる誤解が挙げられます。

⑤ 結婚した年数による意見の違い

結婚年数が長いほど文化の違いに慣れる傾向が見られ、短期間の結婚ではまだ異文化への適応が課題となるケースが多いです。結婚後数年以内のカップルはコミュニケーションの難しさや手続きの複雑さを感じる傾向があります。

より詳しい調査資料のダウンロード

国際結婚に関する、より詳しい調査資料のダウンロードは下記です。ぜひご覧ください。

▼資料ダウンロードはこちら▼
https://drive.google.com/file/d/16ub62nN1iYNxrrMo7mGhHGQlb2ZLEzdG/view?usp=sharing

ABOUTこの記事をかいた人

株式会社グローバルパワー 取締役副社長。1966年生まれ、京都府出身。同志社大学 工学部卒業後、 株式会社リクルートに入社、教育機関の学生募集事業、お稽古情報誌『ケイコとマナブ』編集長など務める。2009年 株式会社アイ・エム・ジェイ Web広告事業の執行役員、中国現地法人の董事長兼総経理を歴任。2013年Daijob.comを運営するダイジョブ・グローバルリクルーティング株式会社の代表取締役社長を経て、2021年4月グローバルパワー取締役に就任。2023年5月、取締役副社長。