日本は、少子高齢化により未曾有の人不足であり、有効求人倍率(季節調整値)は、バブル期をこえる高水準を記録しています。東京都の飲食店やコンビニエンスストアでは、外国人店員を見ない日はなく、日本社会を支える働き手としての存在感が年々高まっています。
また、2019年4月より、新・在留資格である「特定技能」が新設されました。建設業界、外食産業、宿泊業など14業種が対象業種となっており、いままで単純労働における外国人雇用を禁止をしていたものが、単純労働を解禁する形となりました。
今回は、日本で働く外国人がなぜ増えているのか?企業が外国人を雇用する動機、背景と理由についてご紹介します。
現状は? 日本の人口の約2%が外国人、就労外国人は146万人
外国人雇用理由① インバウンド対策
外国人雇用理由② 海外進出 にともなう対策
外国人雇用理由③ 国籍問わず 優秀な人材 確保
外国人雇用理由④ 人手不足 解消 労働力確保
まとめ 隣で外国人が働く時代がすぐそこに。
現状は? 日本の人口の約2%が外国人、就労外国人は146万人
今、日本にはどのくらいの外国人が在留しているかご存知ですか。
法務省の統計(2018年6月末)によると、在留外国人は約263万人で日本の総人口の約2%を占めています。195ヶ国(無国籍含む)の外国人が在留しており、過去最高を記録しています。
アジア圏の出身者が全体の約80%、次いで南米で約10%、ヨーロッパ約3%、北米約3%、オセアニア、アフリカの順となり、国籍別TOP3では、第1位が中国本土、第2位が韓国、第3位がベトナムとなります。近年、ベトナムとネパールの留学生が急増している影響で、2017年に初、ベトナムがフィリピンを抜いて第3位に躍り出ました。
日本で就労する外国人は、厚生労働省の外国人雇用状況届出(2018年10月末現在)によると約146万人となり、留学生などのアルバイトを除くと約100万人の外国人が日本で働いている計算になります。
日本企業が外国人雇用をする理由は、一言でいうと「少子高齢化」によるものですが、大きくわけて4つあります。
外国人雇用理由① インバウンド対策
外国人雇用をする理由の多くは、インバウンド対応です。
インバウンドとは、訪日外国人の日本観光のことを言いますが、すでに日本で暮らし働いている在留外国人向けのサービスも合わせて「インバウンド」と総称する事があります。
日本に観光で来日する外国人は、2018年は3000万人以上と過去最高を記録し、日本経済が伸び悩む中、インバウンド市場の成長は非常に期待されている分野の1つです。
その、訪日外国人観光客にサービスを提供する際、日本語だけでは十分なサービスが提供できないとして、各企業は日本語以外の言語対応として語学堪能な外国人を雇用をします。
具体的には、百貨店等の通訳販員員や外国人向けの不動産賃貸サービスの営業職がこれに該当します。
年々、増加する外国人観光客・在留外国人などのインバウンド対応、インバウンド対策としての外国人雇用が増加しています。
外国人雇用理由② 海外進出 にともなうアウトバウンド対策
2つめが、海外進出・海外事業強化などのアウトバウンド対応です。
日本企業が海外進出をし、ビジネスを成功させるには、やはり現地ローカルの言語や商習慣を熟知しておく必要があります。その際に、日本語も現地の言葉も使える語学堪能で、かつ日本語の商習慣も現地の商習慣も理解している日本在留の外国人材は日本と現地をつなぐブリッジ人材として重宝され、日本企業に雇用されています。
具体的には、海外営業職やマーケティング職などがこれに該当します。少子高齢化により国内需要が縮小している中、日本企業は海外進出をせざるを得ません。日本企業のグローバル化が進む限り海外進出対応の外国人雇用は増加するでしょう。
外国人雇用理由③ 国籍問わず 優秀な人材の確保
3つめが、優秀な人材確保を目的とした雇用です。
少子高齢化・日本人のグローバル化(海外就職など)にともない、日本国内の優秀人材の母数も減少しています。
具体的には、エンジニアやデザイナーなど語学力よりも技術力が優先されるような職種は先行して雇用がすすんでおり、近年では、新卒採用など未経験からスタートをするような総合職においても増加しています。
国籍問わず優秀な人材を確保すべく選考をすすめたら “ 結果的に外国人だった ”というケースです。
よく、「外国人労働者が増えると日本人の雇用が奪われるのではないか」という意見を聞く事がありますが、優秀な人材確保を目的としたこのケースの雇用については、その可能性が大いにあると言えるでしょう。優秀人材雇用のマーケットにおいて、日本人は世界の人材と戦う時代になのです。
外国人雇用理由④ 人手不足 解消 労働力確保
4つめは、日本人の働き手がいないがゆえの外国人雇用です。
外国人である強い理由はないが、企業が求人を出し採用活動をしても日本人の応募がなく、現場はいつまでたっても人手不足の解消ができな、結果的に外国人が雇用され活躍しているというケースです。このケースは、不人気業界や不人気職種といわれる業種・職種での雇用が進んでいます。
具体的には、2019年4月~新設された在留資格「特定技能」対象とする業界や、コンビニエンスストアなどの小売業の接客販売員、ほかはアルバイトなどの非正規雇用の労働力でまかなわれているような職種です。
新在留資格の「特定技能」による単純労働の解禁で、「日本人の雇用が奪われるのではないか」という意見も多くあったそうですが、この業界・業種では、日本人を雇用したくても日本人の働き手は、もはや確保できない状況なのです。「日本人の雇用を奪う」もなにも、「日本人がやらない仕事を外国人が担って頂く」状況なのです。
まとめ 隣で外国人が働く時代がすぐそこに。
これまで、企業が外国人を雇用する4つの理由をご紹介しました。
・現状は 日本の人口の約2%が外国人、就労外国人は146万人
・外国人雇用理由① インバウンド対策
・外国人雇用理由② 海外進出 にともなうアウトバウンド対策
・外国人雇用理由③ 国籍問わず 優秀な人材 確保
・外国人雇用理由④ 人手不足 解消 労働力確保
このように、外国人を雇用する理由や背景は様々です。外国人雇用を検討されている場合は、「なぜ外国人を雇用するのか」「入社後にどのような役割りを担ってほしいのか」などビジョンを明確にしておきましょう。
新在留資格の新設で、日本はこれから、ますます外国人の働き手が増えていきます。「部下は外国人」「同期は外国人」「上司は外国人」「お取引先の担当者は外国人」と、誰もが隣で外国人が働く時代がすぐそこに来ています。いまから外国人雇用の基礎と外国人マネジメントのポイントを勉強しておきましょう。
なお、もっとマクロな視点で「なぜ、日本に外国人が増えているの?」が知りたい方は、なぜ、日本に住む外国人が増えたのか?その理由と背景 ~政策による意図的な増加と自然発生的な増加~の記事をご覧ください。