【Introduction】外国人雇用企業へのインタビュー GLOBALPOWER #竹内幸一

外国人雇用企業へのインタビュー

 この度、当社(株)グローバルパワーにて、外国人雇用に関するすべての情報を集約したウエブサイト「グローバルパワーユニバーシティ」を立ち上げました。労働人口減少により多様な労働資源の活用が急務の中、外国人雇用にともなう採用、在留資格、研修、教育、マネジメントなどの情報をあますところなく提供し外国人雇用に役立てて頂き、日本の未来をより良くしていこという主旨です。いま、ご覧頂いているコンテンツ「外国人雇用企業へのインタビュー」は、“ 外国人雇用の先人に学ぶコーナー”で、当社代表の竹内が、インタビューアーとして、すでに外国人雇用をされている企業の方々に、外国人採用の手法やマネジメントをはじめ、外国人雇用を通じて見える日本の未来など、様々なお考えをお聞きするコーナーです。外国人雇用について先進的に取り組みをされ、事業を成長に導いていらっしゃる企業の方々の英知を学び活かしていただければ幸甚です。初回は、編集長の利重がインタビューアーの竹内に直撃致します!

GLOBALPOWER ♯竹内幸一 

  外国人雇用は、企業にとってあまりにも「必要」。

利重  私がグローバルパワーに入社した7年前は、外国人人材の営業はとても難しいと感じました。2009年のリーマンショックの後ということもあり、日本人雇用が優先、かつ外国人に対する偏見もまだまだありました。ところがいまは、未曾有の人材不足と言われており、女性・シニア・外国人・AIなどのロボットに労働力の活路を見出した企業様から非常にお問合せも多くいただいている状況です。ズバリ、外国人の雇用はこれからもすすんでいくと思いますか?

竹内  結論からすると必ず進むと思います。理由としては、人口が減っていくと労働力が必然的に減っていくので、当然 外国人雇用のニーズは増えていくだろうという事と、社会や組織が外国人の受け入に対する「慣れ」というのもあって雇用は進むと思います。私が外国人の人材事業に携わったのは2005年8月ですが、12年前は「外国人アルバイト」は、コンビニエンスストアにもファミリーレストランにもマクドナルドさんにもいませんでした。外国人アルバイトがいたのは、居酒屋のワタミさんぐらいではなかったでしょうか。ところが2017年の今、東京で外国人を見ない日はありません。コンビニエンスストアもファミリーレストランもマクドナルドさんも、和食屋さんでも外国人と一緒に働くのが当たり前になっています。私が子供の頃は、外国人が道を歩いていただけで目が釘付けになっていましたが、今は山手線で外国人をみない日はありません、大きなスーツケースを持って歩いている外国人を見かける事が当たり前になりました。

 外国人雇用が「必ず増えていく」と断言できるのは、企業にとってあまりにも「必要」だからです。経営者向けの講演などで、よくお伝えしているのですが、「未来永劫、事業を拡大して業績を伸ばしていきたい 、もしくは グローバル化していきたいと思わないのでれば外国人雇用をしなくても良いでしょう。その気がないのであれば、ただ ” めんどくさい ”だけなのでやらなくても良いと思います。」と。外国人は日本人みたいに、何も言わずに我慢してくれたり、阿吽の呼吸で仕事したり、という事ができません。外国人に限らずですが、いまの若い人が社会に出てもきっとそうでしょう。特に30~40歳ぐらいの日本人は、いろんな事に我慢してくれて、空気を読んでくれますので、日本人と仕事したほうが経営者やマネジメントにとっては楽ですよね。 ただ、私の知る限り事業をのばしたくない経営者はいませんし、グローバル展開を考えなくても良い業種も多くはありませんので、そういう意味でいうと、ほとんどの企業が外国の人に活躍してもらって会社を活性化していく以外に道はないと思います。

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 めんどくささを受け入れる事が多様性を受け入れるということ。

利重 外国人雇用について、「めんどくさい」という話がありましたが、なぜめんどくさいのか?また「めんどくさい」という具体的なエピソードがあれば教えてください。

竹内  なぜ私が30歳~40歳以上の日本人と一緒に働くのが楽だと感じるのかというと、” 見てきたものや育った環境が近しい ” という事だと思います。この時代はみんなテレビをみていました。情報源といえばテレビと新聞ぐらいしかありませんでしたから、みんな同じ情報源で同じ情報を得て、みんなと同じ事をしているので、話の共有項目が多いのです。共通項がまったくない知らない人と過ごすのは、大変でめんどくさいと思います。例えば、私の家族ですと、住んでいる場所・人間関係・食べ物・休日の過ごし方、など共通項がとても多いので、多くを語らなくても私のことをよく理解してくれています。だから共通項が多い人たちと過ごすというのは楽だと感じるのです。それが共通項がない人たち、もっと言うと、バックグラウンドが全く違う人と過ごすのは、自分のことをすぐにわかってもらえないというめんどくささ、いちいち言葉にして相手にわかりやすくブレイクダウンして伝えないといけないめんどくささというのがあります。

 以前、中国人の部下を厳しめに叱った時がありました。叱った時に、異常にくいさがってくるので なぜだろう と思っていました。あとで ” 中国人は人前で叱られる事の精神的苦痛度合いが日本人の比ではない ” 知ったときには「これはめんどくさいな」と思いました。私は ” 叱る ” という行為は、オンタイムであるべきだと思っていたので、人前であるかどうかは関係なく、相手のためを思ってその場ですぐに厳しく指導していました。それを中国人に対しては、やってはいけないのだと思うと「これはめんどくさいな」と思ったのです。ただ、よくよく考えてみると、たぶん日本人でも人前で注意される事の精神的苦痛は一緒だろうなと思い直しましたし、やはり周囲の目が気にならない状況で注意をされた方が素直に受け止めることができるだろうと思いました。
 また、新卒の外国人社員を採用した時の話があります。その外国人社員はとても優秀でしたが、日本語のメールの書き方については、いちから教えなければなりませんでした。日本人のまわりくどいビジネス表現もしっかり教えてあげないと、ストレートに書いてしまうのでクレームになりかねません。ですから、お客様
に送るメールを毎回毎回、赤ペン先生として添削をしていました。それを約1年間続けました。新卒の日本人であれば、1~2か月ほどで問題なく失礼のないメールが書けるようになるのですが、外国人社員の場合は、日本人のネイティブチェックが必要なくなるまでに約1年かかりました。通常業務にくわえて、毎度毎度メールを赤ペン先生をする仕事が増える、これはめんどくさいですよね。

 このエピソードはほんの一部ですが、いま考えると、そういう事にめんどくささを感じていた当時の私は、マネジメントとしてはまだまだ至らなかった、マネジメント力が弱かったなと思います。外国人雇用をはじめ、多様性ある人材を活用していくこれからの企業は、そういっためんどくさもすべて受け入れていかなければなりません。同一民族、同一言語、阿吽の呼吸で組織をつくってきた日本人からすると、めんどくささを受け入れる事が多様性を受け入れることなのかもしれません。

 めんどくさい事にしっかり向き合ってくれるマネージャーとそれを受け入れようとする組織風土づくり、トップの理念が必要。

利重 外国人をはじめ多様性ある人材を企業組織が受け入れていくにあたり、何が必要だと思いますか?

竹内 企業の受け入れ体制として必要なことは2つあると思います。1つは、めんどくさいことをめんどくさがらずにしっかりと向き合ってくれるマネージャー、2つ目は外国人に限らず、多種多様なバックグラウンドをもつ人たちとしっかり向き合おうという組織風土です。組織風土とはトップの理念によるものが大きいと思いますので、トップの理念ですね。外国人のみならず、多様なバックグラウンドをもち、多様な価値観をもっているいろいろな人たちに会社に貢献してもらうためには、会社としての考え方を働く人たちに合わせたり、仕事の進め方を変えたり、会社の考え方をしっかり伝えていかなくてはなりません。そして会社の考え方を理解し、共感してもらい、行動してもらう、行動して出た結果に対して褒めて、さらにその人たちをやる気にさせたりとマネジメントをしていかなければなりません。山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」ですね。それらをしっかり回していくのがマネージャーです。そして、組織のトップは、外国人をマネジメントをする最小単位のマネージャーをそういう思考にするため、トップ自身が率先して取り組み、一人ひとりとしっかり向き合うというめんどくささ、大変さをみんなで乗り切ろうする空気、組織風土をつくっていくことです。

 お互いに相手の意図を察してなんとなく通じるというハイコンテクストで、昔ながらの年功序列でやってきた日本組織に、いきなり外国人をポーンと入れたところでうまくいかないと思います。配属された現場のマネージャーとしては「なぜ私がめんどうみなければならないの?」となると思います。昔ながらの日本企業であれば、それこそ楽天さんが社内公用語を英語にしたように、組織の価値観をガラッとかえるパラダイムシフトをするぐらいの心構えで組織風土づくりをしていかなければならないと思います。

 余談ですが、私はNHKの大河ドラマが好きで特に戦国時代の話が好きです。高校生の時、高度成長期のバブルがはじけて今までの価値観がこわれ、世の中の不満が続出、時代がうごきはじめました。その時、” どうやったらこの状況が解決できるのだろう?解決するために人はどう考えてどう動けば良いのだろう? ” と、その解を求めていきついたのが戦国時代でした。戦国時代は100年もないのですが、ドラスティックに世の中の価値観がかわった時代です。のんびりしていた平安時代と室町時代を経て少しずつ世の中に不満が出てきた時に「日本の民を俺が幸せににするんだ」という志をもった人がボコボコでてきて、それを徳川が納めて江戸時代にはいっていきます。
 徳川のすごさは何かというと「人を活かした」事だと思っています。戦国時代にあれだけのすごい人達がでてきてそれを統治したのが徳川、そして歴史に名を刻むような名家臣たちが沢山いますので、きっと徳川が家臣たちを「活かした」結果なのだと思います。
 企業組織は徳川家のような家みたいなものだと思いますので、戦国時代は日本企業も参考になる事が多いと思います。時代が変わりうねりが激しい時は価値感も常識も変わる時代、まさに今がそうではないでしょうか。そんな時代に、徳川家のように「人に活躍してもらう」組織づくりをどうするのか。活躍するとは何かというと、” めっちゃ貢献してもらう ”という意味だと思います。 そうすると、やはり「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」でしっかり相手と向き合う事ができるマネージャーがいて、それが会社として方針となっているかの組織風土の2つがポイントになってくるのだと思います。

利重 逆に、多様性ある人材の受け入れに関して発展途上の日本企業に外国人社員が入社する上での心構えはどうあるべきだと思いますか?

竹内 外国人社員はその組織の中でどうあるべきかというと、いかに組織に貢献するかを考えて行動することだと思います。今ちょうど、日本シリーズをやっていますが、チームに貢献しようとしない選手は必要ないのと一緒で、会社の業績に貢献しようとしない人、会社としてのCSR(社会的責任)に貢献してくれない人は必要とされないと思います。 基本的には「郷に入っては郷に従え」だと思います。自分の考えに固執したり我を通してばかりいては、社会では活躍できません。相手の文化や社会に順応する努力をしなければならないと思います。また、受け入れる側の日本人・組織も ” どうやったら活躍できるのか ” を、きちんと教えてあげなくてはなりません。
 人間として、ホモサピエンスとしての話でいうと、自分の都合ばかり優先する人は嫌われるものだと思っています。私は科学者ではないので勝手な意見ではありますが、ホモサピエンスというものは、人間社会のために役に立つ生き方をしようとする人を本能的に好きになるものなのではないかと思っています。人間は何千年もそういう社会性をもって命をつないできましたから、自分の都合ばかり優先する我の強い人は人間社会の存続の危機となります。自分のDNA・種族を存続しようとするのが生物の本能なので、人と社会の役に立とうとする人が相手に受け入れられ、好かれるのだと思います。
 私は、地元の町内会長やっているのですが、休日は子供たちと町内のゴミ拾いをして、ゴミ捨て場の網などきれいに保てるように掃除をしています。だから、自分で言うのも何ですが、町内のみんなは私の事が好きで慕ってくれます。それは、町内の役に立とうとしているのが伝わっているからだと思いますし、みんながこの町内で私が必要だと思ってもらえているのだと思います。仮に私が外国人だったとしても、みんな私のことは好きになってくれたと思いますよ。

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 外国人が活躍し、貢献してもらっている企業の知見とノウハウをお届けしたい。

利重 これから、外国人雇用に取り組んで事業を伸ばしていらっしゃる企業の方々へインタビューをして頂く事になるのですが、インタビューに伺うにあたり、心構えと意気込みを教えてください。

竹内 少子高齢化の日本、労働人口減少の日本、国際競争力激化の日本、グローバル展開しなければならない日本の企業が、はじめて訪れる激動の時代を迎えます。価値観が大きく変わる激動の時代にも、それぞれの企業は事業をのばしていかなければなりません。その中で、外国人が活躍し組織に貢献してもらっている企業がすでに存在しているのであれば、それはとても素晴らしことだと思いますし、それをどうやって成し遂げたのかという「どうやって?」というのは、これから激動の時代に立ち向かう企業にとっては、とても勉強なる知見だと思います。ただ、その知見を自らいろいろな方に聞きにいくのは大変な事だと思いますので、それを私が実行、1つに集約することによって、一人でも多くの企業や経営者の方、採用担当者の方にお届けし、お役に立てたらと思います。