2017年末 日本にいる外国人は〇〇〇万人?

グラフ

この記事は、2017年12月末の「在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表」による記事です。2018年12月末の統計による最新記事は『日本に住む外国人の数は?日本で働く外国人の数は?日本にいる外国人まるごと解説~【2018年12末 】在留外国人統計(旧登録外国人統計)より~」』をご覧ください。

毎年、法務省から「在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表」というものが発表されるのですが、今年も6月29日に在留外国人統計が発表されました。

「在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表」は、どのような統計かというと、日本在住の外国人材の人数や居住エリアなどをまとめたものになります。

筆者は、毎年この統計を楽しみにしており「どの国籍の方の在留が伸びたのか?」「昨対でどのくらい伸びたのか?」など肌感覚と実際の数値を付け合わせて、自分の予測が合っているかどうか、などを楽しんでいます。なんともマニアックな話ではありますが、職業病みたいなものかもしれません。

さて、今年も在留外国人統計と採用活動への活かし方についてご紹介したいと思います。

出典:統計でみる日本 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00250012&tstat=000001018034&cycle=1&year=20170&month=24101212&tclass1=000001060399

日本在住の外国人は、約256万人

2017年末日時点で、日本在住の外国人材の総数は、2,561,848人・国籍は196ヶ国(無国籍含む)で前年末に比べ、179,026人(7.5%)増加し、過去最高となりました。 これは、日本の総人口の2%を占める数字となります。

外国人登録者数遷移グラフ

1980年代から、じわじわと在留外国人が増えはじめ、2008年に約221万人にまで増加しました。しかし、2008年後半のリーマンショックをきっかけに減少、2011年の東日本大震災と原発事故の影響で、2012年には約203万人にまで減少しました。その後、訪日外国人観光客(インバウンド)の増加とともに在留外国人も増え、2015年以降、毎年、過去最高を記録しています。

では、在留外国人の出身はどこのエリアが多いのでしょうか。エリア別で見てみましょう。

エリア別円グラフ

エリア別でみてみると、アジア圏が全体の約83%を占め、次いで南米約10%、ヨーロッパ約3%、北米約3%、オセアニア、アフリカの順となっています。

教育機関や教育関連事業を展開している企業で英語ネイテイブ人材を採用したい企業が増えていますが、いわゆる英語ネイティブだと言われている6ヶ国(アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランド)は全体の4%弱程度となります。ひっぱりだこの英語ネイティブ人材を、国内で確保しようとするとなかなか難しいのがよくわかるデータだと思います。

アジア83%の内訳は下記となります。

アジア内訳グラフ

東アジア(韓国、中国、台湾、朝鮮、モンゴル)が60%、東南アジア(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、東ティモール、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)が31%、南アジア(インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルディブ)が8%、西アジア(アフガニスタン、アラブ首長国連邦、バーレーン、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、シリア、トルコ、イエメン、パレスチナ)となっています。※国連による地理区分で西アジアに分類されている国でも、法務省統計でヨーロッパに分類されているものは西アジアに入れておりません)東アジアの割合は前年より減少し、東南アジア、南アジアの割合が増えています。

続いて国籍別でみていきましょう。

国内別ランキング

国籍別のランキングTOP10です。国籍別でみると、最も多い国籍1位は昨年に引き続き中国本土、続いて2位は韓国で、これはここ数年不動です。3位は、フィリピンを抜いて、ついにベトナムがランクインしました。理由は後述しますが、留学生の急増が影響しています。

他、昨年(2016年末)と比較すると、台湾が米国を抜いて7位に、タイがペルーを抜いて9位に、インドネシアがペルーを抜いてTOP10にランクインしました。

続きまして、都道府県別でランキングを見てみましょう。

都道府県ランキング

都都道府県別では、長崎県を除く46都道府県で前年末を上回りました。上から東京(+7.3%)、愛知(+8.3%)、大阪(+5.9%)、静岡、福岡の主要都市+そのベッドタウンエリアという構成になっており、一都三県(東京、埼玉、神奈川、千葉)だけで41%を占めています。ちなみに、東京在住の外国人で一番多い国籍は中国ですが、愛知県・静岡県で一番多い国籍はブラジル、大阪は韓国となります。愛知県・静岡県は、日本を代表するメーカーさんの生産拠点が密集していますので、その現場で働く日系ブラジル人の方が多い為ブラジル国籍が1位となります。大阪は韓国籍をもつ特別永住者の方が多い為、韓国籍が1位となります。

続いて、在留資格別ランキングです。

在留資格別ランキング

次に在留資格別ランキング、1位は永住者で全体の約30%を占め、続いて特別永住者、留学生の順となっています。留学生は、2008年に「グローバル戦略」の一環として目標設定された「留学生30万人計画」を達成しました。日本の企業で働いている外国籍の多くは「技術・人文知識・国際業務」という在留資格の方になり、189,272人(+17.5%)で全体の7%強となっています。(就労の在留資格は他にも沢山ありますが、留学生から日本企業に就職するような方の90%近くは 技術・人文知識・国際業務 の在留資格となります)

また、先日発表された、経済財政運営の骨太方針に盛り込まれた技能実習生の受け入れ拡大による労働力不足の解消として話題になっている技能実習生は、274,233人となり、全体の10.7%を占め昨年よりも20%増加しています。骨太方針による拡大路線でさらに増加するものと思われます。

日本在留の留学生は、31万人に!

次は、留学生についてフォーカスをあててみたいと思います。

外国人留学生数遷移グラフ

日本在住の外国人留学生は、2017年末の統計データで、311,505人・国籍は187ヶ国(無国籍含む)となり、こちらも過去最高となります。1983年の中曽根内閣時代に、留学生10万人計画が掲げられてから、留学生が徐々に増加しました。留学生においては、リーマンショック後でも増加しており、2010年に約20万人に突破、東日本大震災と原発事故で減少しました。当時、一時帰国した留学生は多かったのですが、1か月後の2011年4月には、日本に戻ってきている留学生が多かったという印象です。また、本人は日本に戻りたかったけれども両親から反対されて日本に戻る事を断念したり、両親にパスポートを隠されてしまい戻れなくなったというエピソードもありました。

また、先ほどご紹介をしましたが、2008年にグローバル戦略の1環として「留学生30万人計画」という目標が掲げられたのですが、2017年に見事達成しました。日本でしか通じない日本語をわざわざ学びに来てくれ、日本を好きになってくれる留学生がここまで増えるということは大変喜ばしい事ですし、知日派・親日派の外国籍人材は必ずや母国と日本との架け橋となり日本の未来にとってプラスになるものと信じています。

ただ、「30万人計画が達成」されたことに対して、大きなニュースにもならなかった事は残念です。

では、留学生の国籍別ランキングを見てみましょう。

留学生数 国籍別ランキング

もっとも多い留学生の国籍は、1位:中国、2位:ベトナム、3位:ネパールとなります。なんと中国、ベトナム、ネパールの留学生で全体の70%強を占めています。2013年頃からベトナム、ネパールの2国が急増し、それまで2位だった韓国を追い抜きました。なぜ、ベトナム、ネパールが急増したかという理由は2つあり、1つは中国の経済成長にともない、中国人学生が欧米圏に留学する人が増えてしまったという事です。この頃からすでに、”日本でしか通じない日本語を学んで何のメリットがあるのですか?”と言われる時代に突入していて、英語・中国語を勉強したほうが稼げる時代になっているのです。

そう考えると、たかだか1億2700万人程度が使う言語、日本でしか通じない日本語をわざわざ学びにきていただける留学生はとても貴重です。日本が大好きで留学先に日本を選択していただいている留学生に感謝するとともに、もっともっと活躍していただく必要があると思っています。

もう1つの理由は、中国・韓国の経済成長にともない、留学エージェントへの紹介料が高くなってしまい、多くの日本語学校さんが紹介料が低い国の留学生獲得に舵を切ったという背景があります。多くの日本語学校さんは、現地の留学エージェントにたのんで日本にきてくれる留学生を募っているのですが、紹介してもらうにもフィーが発生します。高くなってしまった紹介フィーを抑えるために、東南アジアへ、ビザの緩和とともにベトナム・ネパールの留学生が増えたという背景です。2016年のTOP10にランクインしたスリランカですが、就労外国人もスリランカが上位に食い込んでおり、今後はますますスリランカ留学生が増加しそうな予感がします。

採用計画への活かし方

採用計画を立てる際に、日本在住の外国人材の母数によっては、国内で採用するのか、海外採用するのかの選択が変わるかと思います。例えば、英語ネイティブの英語教師を採用しようと計画されている場合、英語ネイティブの層は全体の約4%弱で9万人強、その中で、年齢層は?性別は?日本語レベルは?経験は?と絞っていくと母数が減ります。母数によって、現実的に確保できそうかどうかを予測し、海外採用にふみきるのか?英語ネイティブにこだわらず、第二言語として英語を使用しているネイティブに近い層まで広げるのかの選択が変わってくると思います。

ほかの言語や職種も考え方は同様です。いま、募集されている求人になかなか応募がこないな・・と感じていらっしゃる採用担当の方は、そもそもターゲットが国内に存在しない可能性もあります。ぜひ、一度、法務省の「在留外国人統計」をもとにターゲットを見直すことをお勧めいたします。

なお、ターゲット選定などで、わからない事などありましたら一緒に選定や求人計画のお手伝いをさせて頂きますので、お気軽にご相談ください。当社では、毎週木曜日に 【毎週木曜10:00開催】外国人採用 個別相談会と外国人と働く職場見学会を実施しておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。

▶2018年12月末の最新の統計情報による記事は下記をご覧ください

ABOUTこの記事をかいた人

株式会社グローバルパワー 取締役 1979年 山口県生まれ。広島県の呉大学(現:広島文化学園大学)社会環境情報学部を卒業。大手人材サービス会社の営業を経て、2010年 外国人派遣・紹介サービスの(株)グローバルパワーに入社、2012年 取締役に就任。2017年 外国人雇用とマネジメントのすべてがわかるWEBサイト「グローバルパワーユニバーシテイ」編集長。